北欧で唯一ワールドカップ(W杯)を開催し、自国で行われた1958年大会で準優勝、94年大会で3位の好成績を収めた。スウェーデンは北欧勢の中で、最も実績のある強豪国と言っていいだろう。最強イレブンを選考する際にも、58年と94年、2次リーグで西ドイツやポーランドを苦しめた74年大会のメンバーがまず浮かんでくる。
48年のロンドン五輪で金メダルを獲得し、「サッカー界にスウェーデンあり」を印象づけた。この時の主力が、グレン、リードホルム、グンナー・ノルダールの攻撃トリオだ。ここに目を付けたのがイタリアのACミラン。「グレ・ノ・リ」と呼ばれたこの3人を獲得し、51年にイタリア・リーグを制す。ロンドン五輪得点王のノルダールは、がっしりした体格に加えて得点感覚が鋭く、シュートも強烈。結局、ACミラン歴代最多の221ゴールを奪い、イタリアで5度も得点王に輝いた。2人の兄弟もロンドン五輪の優勝を経験し、イタリアに活躍の道を求めた。
グレンは今で言えば攻撃的なMF。右寄りの位置から多彩なパスを送り、シュートもうまかった。リードホルムは戦術眼に優れ、多彩なポジションをこなした。テクニックがある上に空中戦にも強く、攻撃的な位置で能力を発揮したかと思えば、キャリア後半にはリベロでも起用され、守備ラインを統率しながらチーム全体を掌握した。引退後は監督としても成功を収め、ローマを84年欧州チャンピオンズ・カップ(現チャンピオンズリーグ)決勝まで導いている。
58年W杯は、リードホルム、グレンを中心に、ウイングのハムリンとスコークルンドがサイドを突破してチャンスを広げた。決勝でペレ、ガリンシャ、ババ、ジジらのブラジルに敗れて優勝に届かなかったとはいえ、開催国の意地を十分に発揮した。右サイドバックのベリマルク、センターバックのグスタフソンらも高い評価を集めた選手だ。
次にW杯に出場したのは70年大会。高地への順応などがうまくいかず、やや不本意な戦いぶりで1次リーグで敗退した。ただ、FWシンドバルが光るプレーを見せたほか、代表戦115試合に出場したノルトクビストが主将として守備ラインを締めた。3試合で2得点2失点。どこかであと1点奪えていれば、準々決勝に残れていただろう。
少し悔いの残った70年大会の経験を経て、74年W杯は生きのいいチームでファンを楽しませた。その中心はエドストレームとサンドベリのFWコンビ。エドストレームは190センチ近い長身で空中戦に強いだけでなく、ドリブルやシュートもうまかった。サンドベリはより俊敏に動くタイプ。スペースを見つけると、素早くそこを突いた。
この大会ではエドストレームが4点を挙げ、サンドベリも2ゴール。とりわけ、エドストレームが2次リーグの西ドイツ戦で相手クリアを強烈な左足ボレーで決めた先制点は、この大会の名ゴールの一つとなった。
守備ラインにはノルトクビストが健在。前回大会も経験したGKのヘルストレームは抜群の反応と俊敏な動きで好守を連発。クライフらを擁する「トータル・フットボール」のオランダを1次リーグで0-0の引き分けへと持ち込んだ。ヘルストレーム、ノルトクビスト、エドストレームは、MFのボセ・ラーション、タッぺルらとともに78年W杯にも出場した。
開催国として頂点を狙った92年欧州選手権では準決勝でドイツに敗れて決勝進出を果たせなかった。しかし、その経験を2年後に生かす。94年W杯の代表は、攻守にバランスの取れた安定感のあるチームだった。92年のユーロで活躍したブロリンは中盤の攻撃的な位置から、ダーリン、ケネット・アンデションの力のあるFW陣と絡む。その背後に、テルン、シュバルツ、ミルドらしぶとく守れるMF陣を配した布陣は、相手の攻撃をしのぎ、スピードと切れのある前の3人を生かすというコンセプトを徹底した形だった。アンデションが5点、ダーリンが4点、ブロリンが3点を挙げ、狙い通りの結果を得た。
守備陣には同国代表最多143試合出場のGKラベリ、同116試合のローランド・ニルソンらがいた。優勝したブラジルと1次リーグ、準決勝と2度対戦し、2-2と0-1の接戦。しっかり守って素早く攻め、ラベリは好守を連発した。
その後のスウェーデンは、FW陣にユニークな人材を生み出している。94年W杯も経験したヘンリク・ラーションはチャンスを確実に生かす決定力を武器に、106試合に出場して代表通算得点を37まで伸ばした。2004年の欧州選手権以降、ラーションの相棒となったのがイブラヒモビッチ。192センチの大型ながら、ボスニア系らしいテクニックも持つ。ボールがキープできるから周囲を生かすこともうまく、万能型のFWとしてスター選手になった。16年の欧州選手権まで主要大会でチームを大黒柱としてけん引。代表通算最多の62ゴールを重ね、圧倒的な存在感を誇った。イタリア、フランスのリーグで計5度の得点王に輝いた。
アーセナルなどで活躍した左サイドのMFユングベリ、2002年W杯で堅守を見せたDFミャルビーらも近年の印象に残る選手たちだ。18年W杯は8強。DFグランクビスト、中盤の左サイドから攻撃の中心となったフォルスベリらが中心的な存在としてチームを引っ張った。逆に、古いところでは、24年パリ五輪銅メダルメンバーのFWリデル、50年W杯で主将を務めた左フルバックのエリク・ニルソンらも忘れてはならない選手に違いない。リデルは代表通算49ゴールを記録。イブラヒモビッチに抜かれるまで最多記録保持者だった。
【スウェーデンの最強イレブン】
▽GK ヘルストレーム
▽DF ベリマルク、ノルトクビスト、グスタフソン、E・ニルソン
▽MF リードホルム、グレン、ブロリン、ハムリン
▽FW イブラヒモビッチ、G・ノルダール
〔控え〕▽GK ラベリ▽DF ミャルビー▽MF スコーグルンド▽FW シンドバル、エドストレーム、ダーリン、H・ラーション
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