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各国歴代最強イレブン

日本(1)

 各強豪国のあまたの好選手たちの中から、独断でベストイレブンを選んできた。日本のサイトである以上、日本についても触れざるを得まい。ただ、現時点で日本の最強イレブンを選考することは、「あくまで独断」と断った上でもかなり難しい。

 他の強豪国に関しては、ワールドカップや欧州選手権などで好成績を残したチームを中心に、外国人としての目でかなり気ままに選手を選ぶことができる。しかし、いざ自国の選手を選ぶとなると、なかなかW杯の代表中心と割り切ることができない。しかも、日本は1998年にようやくW杯出場を果たした「新興国」の一つ。海外に移籍する選手も最近になって増え、現役選手たちには大きな成長が期待されている。ただ、長友佑都や香川真司が驚くようなパフォーマンスを見せたからと言って、簡単に歴代最強イレブンに選んでしまっては、長くそのポジションで日本を支えた先人たちに失礼になるだろう。選手の評価は、その人の実力と、果たした決定的な仕事の数、高いレベルのパフォーマンスを継続したキャリアの長さを総合的に判断して下されるべきものだからである。

 私も含め、日本の多くのサッカーファンにとって、Jリーグ発足前とその後ではサッカーに対する印象の強さが相当に違うはずである。だからと言って、昔の選手たちのレベルは低かった、現在の名選手と比較し得るレベルの者はいなかったと断じることはできまい。そのあたりに非常に難しさがある。

 Jリーグ発足後、圧倒的な支持を集める中田英寿や本田圭佑にしても、今後に近いレベルの活躍をより長く活躍する選手が現われれば決して絶対的な存在とはなり得ないだろう。

 日本は18年大会まで6大会連続でW杯に出場する一方で、94年大会までは一度もその扉を開くことができなかった。ただ、以前と現在ではW杯出場への条件がまったく違うことも事実だ。アジアからの出場枠が複数の2となったのは86年大会から。これが98年に3・5、2002年から4・5と広がった。つまり、82年大会までは、アジアで1位になることがW杯出場への必要条件だったわけだ。すっかりW杯の常連となった現在の代表チームだって、この厳しい条件ならW杯予選で最後の最後まで絶対に気が抜けないはず。W杯出場を逃す可能性だって決して低くはない。

 サッカーを取り巻く環境も大きく変化している。プロ化以前の選手たちは、会社員として仕事もしながらサッカーを続け、創意工夫を重ねてレベルアップを模索した。W杯や五輪の出場を目指すにも、強化資金不足。食事や移動、練習環境など今とは比較にならないほど苦労があった。一方で現在のプロ選手たちは、サッカー選手として終われば何の保証もない。その点、待遇やコンディションに神経質になるのは無理からぬところがあるし、会社員として一流企業に残れた以前の方が恵まれていたという見方もできる。ただ、とりあえず選手としての生活だけを考えれば、現在の方がプレーに専念できる環境が整っているのは間違いない。

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