2010年のワールドカップで8番目のW杯優勝国となったスペイン。ただ、20世紀までのスペイン代表と聞いて明確なイメージが浮かぶファンは、そう多くないはずだ。06年W杯までの戦いを見れば、W杯の4強入りは50年大会の1度だけ。1964年の欧州選手権制覇が、主要国際大会で唯一のタイトル。それは、数々の栄光を持つ国内クラブの国際的な実績と比して、かなり寂しいものだった。
象徴的だったのが地元で開催した82年W杯だった。6試合でわずか1勝に終わり、奪った4得点中の2点は微妙な判定の末に得たPK。審判団にもかなり「支援」してもらい、かろうじて2次リーグに進む体たらくだった。
長年、代表チームが振るわなかったことには、二つの大きな原因がある。まず、レアル・マドリード、バルセロナの2大クラブを筆頭に、国内の有力クラブが外国人選手の獲得に意欲的だったことだ。Rマドリード、バルセロナともに欧州カップ戦などでも好成績を期待されるため、海外の好選手を続々と補強した。古くはディスファノ、プスカシュ、コパ、クバラ、クライフ、最近ではロマーリオ、ジダン、ベッカム、ロナウジーニョ、ロナウド、クリスティアーノ・ロナウドら枚挙にいとまがない。
ビッグクラブが獲得するのは各国代表クラスのスター選手ばかり。彼らが主要なポジションに入るから、国内出身選手にはなかなか重要な役目が回ってこない。主要ポジションの海外依存度が大きいから、大舞台で大きな仕事ができる国内スターがなかなか育たなかった。
もう一つは代表チームの位置づけだ。スペインは歴史的な背景から各地域の独立心が強く、カタルーニャ地方やバスク地方は、首都マドリードに強い対抗心を持っている。Rマドリードとバルセロナの対決が盛り上がるのは、こうした事情も大きい。地域間の対抗意識が強いから、代表チームの応援といっても、なかなかまとまらないし、ファンの関心も薄い。したがって、選手たちの意欲も高まらなかった。
08年の欧州選手権、10年W杯、12年欧州選手権のの連続優勝は、そんな傾向に変化が表れた結果として注目される。欧州→世界を連続で制覇したのは、72、74年の西ドイツ以来の快挙だった。チームの主力だったMFシャビ、イニエスタ、シャビアロンソ、FWビジャ、DFプジョル、ピケ、GKカシリャスらは国内名門クラブの主力ばかり。若手の育成が進み、強豪クラブの中でもスペイン出身選手が重要な役目を担うことが、めっきり増えた。08年の欧州選手権で久々の主要大会王者となったことで勝つ喜びを知った選手とファンは、代表チームの活躍により期待するようになった。
大きな歴史の転換を成し遂げたのだから、スペイン歴代イレブンを選考するに当たり、この両大会で主力となった前述の選手たちをベースに考えても、大きな間違いとはなるまい。チームはそれほどまとまっていたし、豊富な運動量と高い技術を誇る選手たちが集まっていたのは確かだ。
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