各国歴代最強イレブン

フランス(3)

 準決勝でブラジルに完敗した58年、惜しくも4強にとどまった82、86年を経て、フランスは三つ目のヤマとなる98年に7番目のW杯優勝国として名を連ねる。過去2度の黄金期に比べて守備の堅実さが増し、FW陣にも世界的な人材を得た。全体の華やかさが少しばかり後退した半面、際どい勝負を勝ち切るしたたかさを身につけ、「現実路線」を貫いて王者の称号を手にした。攻守のバランスは、間違いなく高まっていた。

 98年のW杯と2000年の欧州選手権を制覇し、06年W杯では準優勝。この時期の躍進はジダンを抜きには語れない。アルジェリア移民の子弟らしく、アフリカ的な柔らかいボールタッチを誇る上に、体格にも恵まれていた。長短のパスを織り交ぜて攻撃を組み立て、前線にチャンスボールを供給。珍しくヘッドで決めた98年W杯決勝、対ブラジルの2得点、レアル・マドリードの中心選手として02年欧州チャンピオンズリーグ決勝のレーバークーゼン戦で奪った左足ボレーでの決勝点など、印象的なゴールも多い。

 そのジダンが操ったFW陣が、アンリ、トレゼゲ、ビルトール、ジョルカエフら。アンリやトレゼゲはサイズがある上に技術も高く、ゴールを量産。相手の屈強な守備陣に体格面で劣っていた以前のフランス代表とは趣を異にした。

 こうしたアタッカー陣を背後で支えた守備の面々には「プロフェショナル」な選手がそろっていた。調子に乗って攻め上がり、時折隙を見せてしまったコパ時代、プラティニ時代のチームとの大きな違いは、したたかに負けない戦いができたことか。

 守備的なMFではデサイーやデシャン、ビエラ、マケレレ、プティ、センターバックでは、中盤の底もこなしたデサイー、ブランらの名前が浮かぶ。98年はセンターバックをデサイーとブランで組み、その前方にデシャン、カランブー、プティが並んで守備のブロックをつくった。

 特にデサイーは身体能力が抜群で、ダイナミックな守備で相手を圧倒した。ビエラは190センチを超える大型。マケレレは小柄ながら活動量が多く、ボールをよく拾った。デシャンは98年代表の主将。冷静、堅実さが光った。ブランも190センチの大型で、98年W杯のパラグアイとの16強対決で、延長戦の決勝ゴールを奪ったシーンも思い出される。

 98年の右サイドバック、テュラムは近年の代表的なDFの1人。身体能力、判断力とも優れ、06年W杯などではセンターバックとして強力な守備を見せた。忘れられないのが98年準決勝のクロアチア戦。スピードを生かした攻撃参加から同点、決勝の2ゴールを奪い、決勝進出のヒーローとなった。同時期に活躍した左のリザラズも鋭い攻め上がりと安定した守りで高い評価を集めた。

 ジダンの引退後、やや苦しんだ時期を過ぎると、フランス代表には新たな風が吹いてきた。サイドからの攻撃に威力を見せたリベリが引っ張った時期を経て母国で開催した16年欧州選手権で準優勝。スケールの大きいMFポグバや守備力に優れたカンテらが台頭。鋭い動きで得点機を生かすFWグリーズマンは同大会で6ゴールを奪い、新たなエースストライカーとなった。ベンゼマも14年W杯などでの活躍が光った。

 そして18年W杯で2度目の世界制覇。前回王座に就いた98年に生まれた19歳のFWエムバペが圧倒的なスピードと切れを生かして前線の脅威となり、ポグバやグリーズマンが配球役、サポート役として新鋭を後押しした。

 中盤ではカンテの守備が光り、バラン、ウンティティのセンターバック陣は高さと強さを併せ持ち、セットプレーでは攻撃で貢献。パバール、エルナンデスの両若手サイドバックも光る存在で、今後のさらなる成長が楽しみになった。

 GKは80年代のバツ、90年代のバルテズがまず頭に浮かぶ。ともに安定感はあったが、相手として戦いにくいのは体の大きいバルテズの方か。バツは86年W杯準決勝の西ドイツ戦でブレーメのFKを防げなかった場面などがどうしても思い出されてしまう。強力な守備陣にも助けられたとはいえ、バルテズは98年W杯でわずか2失点。世界一に輝いた実績はやはり大きい。

 この他の好プレーヤーに、90年代にマンチェスター・ユナイテッドでも活躍したアタッカーのカントナがいる。存在感は大きく「キング」と呼ばれたが、強い個性ゆえにトラブルも多く、W杯には出場できなかった。

 【フランスの歴代最強イレブン】
 ▽GK バルテズ
 ▽DF テュラム、デサイー、トレゾール、アモロ
 ▽MF ビエラ、プラティニ、コパ、ジダン
 ▽FW フォンテーヌ、アンリ
 ▽控え バツ(GK)、ジョンケ(DF)、ティガナ、ジレス、ポグバ(MF)、グリーズマン、カントナ(FW)

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