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「GODZILLA ゴジラ」 渡辺謙さんに聞く

日本人として価値あるなと

 今夏の話題作、米国版「GODZILLA ゴジラ」(ギャレス・エドワーズ監督)がヒットしている。米での映画化は1998年に続き2度目だが、ハリウッド製モンスター映画のリメイク風だった前作とは異なり、全編に日本の怪獣映画へのオマージュが込められ、マニアにも満足の行く仕上がりだ。日本からは俳優の渡辺謙さんが参加、怪獣たちの謎に迫る芹沢猪四郎博士役を演じている。作品に寄せる思いなどを聞いた。

(文化特信部編集委員・小菅昭彦)

 ※インタビューには作品の根幹に触れる内容が多く含まれています。ぜひ、作品をご覧ください。

―ハリウッドの超大作で、題材は日本由来。即断即決で出演をお決めになったのかと思いきや、随分迷われたと聞きました。

 「今なぜゴジラなの?」という疑問符がありました。でも、監督のギャレスに会い、彼のビジョンを知り、考えが変わりました。ゴジラの成り立ちはもちろん、広島、長崎の原爆から(東日本大)震災後の原発事故に至る日本人の心情への造詣がとても深かった。彼ならちゃんとしたゴジラが出来るかもしれない、そう思いました。

 できるだけオリジナルに準じた作品にしたいという話もしてくれて、それならやる価値はあるなと。

 脚本に震災後の原発事故を思わせる場面があったことも、出演を決めた理由の一つでした。3年前の事故が今、議題にも上らなくなりつつあるでしょう? そんな風潮に対して、それはどうなんだろうと。こんなに早くいろんなものを忘れ去って、また元来た道に戻ろうよと言うのはどういうことなんだろう?そんな漠然とした不安があったんです。

 逆に言えば、さまざまなハードルがある中、それらを越えてでも原発事故のトピックを扱ってくれようとするギャレスという男の企てに、日本人の俳優として参画すべきだと思いました。

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