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ダイオウイカの子ども

生後1年未満の若い個体

 2015年5月6日午後、神奈川県横須賀市の大津漁港で水面に浮いているイカが発見された。触腕が長く、見慣れない種類だった。見つけたのは、ナマコ漁に出ていた漁船、小川丸の船長。海面を立ち泳ぎしていたところを網ですくい、水槽に入れた。連絡を受けた三浦市の水族館「京急油壺マリンパーク」の飼育員は、漁港に急行。触腕やひれの形状などの特徴はダイオウイカに類似するものの、約1.3メートルと小型だった。ダイオウイカは全長が3メートルを超える個体が多数見つかっているため、種の特定までには至らなかった。

 間もなく死んだ正体不明のイカは、マリンパークで冷凍保存された。6月29日には、国立科学博物館の筑波研究施設で、ダイオウイカ研究の第一人者の窪寺恒己(くぼでら・つねみ)博士の指揮のもと、調査を行う。その結果、捕獲されたイカはダイオウイカ。生まれてから1年未満の若い個体であることが分かった。

 全長1メートル26センチ。外套(イカめしの米が詰まっている部分)の長さ25センチ。体重1,034グラム。性別は不明とされた。オスかメスかは、解剖、または直に生殖活動を見ないと分からないためだ。しかし、解剖は行われなかった。子どものダイオウイカが見つかることは非常にまれ。今回が4例目という貴重な個体のため、メスは入れられなかった。

 ダイオウイカの子どもは、マリンパークで透明なアクリル樹脂に封入後、11月29日に展示。14年8月、公開学術解剖が行われたメスのダイオウイカ(4メートル38センチ)も展示されており、大きな反響を呼びそうだ。公開初日には窪寺博士の特別講演も催された。さらに、時事通信社は講演直後の博士を取材、これから先のダイオウイカ研究について話を聞いた。(時事ドットコム編集部 山本典央)

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