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だからサッカー・ドイツ代表が嫌いだった~最強チームへの敬意を込めて

そびえ立つ新たな王国

 ドイツは14年W杯で何度かスペシャルプレーを見せた。そのいくつかは成功せず、いかにも芝居じみた動きが失笑を買ったが、ブラジル戦では見事に成功。CKの際、ダビドルイスに厳しくマークされていたトーマス・ミュラーが瞬間的にマークを振り切って大きく動き、ダビドルイスを別の選手がブロックして動きを封じたスキに、ミュラーがフリーとなってシュート。この特別なプレーで先制点を奪った。

 バスケットボールを研究して考えたプレーだったという。技術レベルが上がり、選手層の厚さを増したチームがこんなプレーまで用意して大会に臨み、「ここぞ」という場面で仕掛けてくる。日本を含むチャレンジャーの国々が平凡な連係練習を繰り返すだけで大会を迎えているとすれば、勝ち目はないに等しい。

 前の東の横綱は、連盟の強化策や運営はめちゃくちゃながら、路地裏でボールを蹴ることで技術を磨いた少年たちが次々に台頭して王国の看板を支えてきた。対するドイツは、もともと体力、スタミナ、諦めない気持ち、団結力などには定評がある。そこに数段レベルアップした技術や戦術が加わった。しかも、この国の人々は計画性や緻密さ、勤勉さ、分析力といった点でもレベルが高い。

 新たな東の横綱は、高くそびえ立っている。

(時事通信社 橋本 誠)

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