その裏にはドイツ連盟が主導した大改革があった。96年の欧州選手権に優勝しながら、プレーの質の低下に危惧を描いた連盟は改革の必要性を痛感。00年の欧州選手権で珍しい1次リーグ敗退を喫したことで、大改革へとカジを切った。
若年層の育成を重視。アマチュアの指導強化に向けた投資を拡大し、指導者に対する無料講習会などを実施。ブンデスリーガにおいても、クラブで育成した選手を一定数起用するよう義務付けたルールを制定。そんな環境の中から基本技術のしっかりした若手選手が次々に育ち始めた。
その成果は06年W杯あたりから顕著になり、W杯、欧州選手権での上位進出を経て14年で大きな花が咲いた印象だ。14年W杯では、荒れたピッチでもボールをうまくコントロールするドイツ勢の技術の高さが目を引いた。はやりの堅守速攻型ではなく、ボールポゼションを基本とするチーム。多くの選手が連動し、常に複数のパスコースを用意するように動く。個々の選手のしっかりしたボール技術、意思疎通のしっかりしたチーム戦術がそのバックグラウンドになっている。
フィリップ・ラーム、バスティアン・シュバインシュタイガーらの世代にトーマス・ミュラー、メスト・エジル、マヌエル・ノイアー、サミ・ケディラ、マット・フンメルス、ジェローム・ボアテングらが続き、そこにトニ・クロース、ユリアン・ドラクスラー…と加わっている。民族的にも多彩なルーツを持つ選手たちが増え、より柔軟な戦いが可能になってきた印象も強い。
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