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だからサッカー・ドイツ代表が嫌いだった~最強チームへの敬意を込めて

「あんたらはいつも強いよ」

 対するドイツはその大会のベストチームの一角でなくても決勝進出や優勝を果たすことが多い。54年大会(優勝)、82年大会(2位)、86年大会(2位)はその典型だろう。一方で、最も素晴らしいチームだったのに優勝、準優勝に届かなかったというケースに該当する例はあるだろうかと考えると、筆者が見たところ皆無だ。つまり、精神力や体力を生かし、サッカーの質以上の成績を収めるケースが圧倒的に多いのだ。

 確かにそのメンタルの強さ、諦めない姿勢、チームの勝利に向けて気持ちを集中させる団結力などは賞賛に値する。しかし、毎回毎回そんな具合でより良質なサッカーを駆逐されてしまっては、美しい戦い、楽しいサッカー、好チームが持ち味を出し合っての激しい攻防を追い求めるファンとしてはたまらない。あまりの可愛げのなさに、「もう分かった。あんたらはいつも強いよ」とあきれるしかない。

 その点イタリアは悪いときはあっさり引き下がるし、勝つときは意外なほど鮮やかに勝つ。82年W杯のベストチームはブラジルだったかもしれないが、イタリアが大詰めのアルゼンチン、ブラジル、ポーランド、西ドイツとの4試合で計10ゴールを奪ったことを忘れてはなるまい。彼らがPK戦の手を借りたのは、06年の決勝だけである。

 アルゼンチン、フランスやオランダも年代によって大きな波がある。スペイン代表は最近になって結果を出し始めたばかりだし、イングランドはとっくに列強の座から転げ落ちているのだ。ウルグアイも長く古豪と呼ばれ、10年W杯で4強に進むまで長い間「過去の国」と見られていた。

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