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だからサッカー・ドイツ代表が嫌いだった~最強チームへの敬意を込めて

期待高まるも…

 ただ、このオランダ戦を突破した後から、西ドイツも少し勢いが鈍ってきた。準々決勝のチェコスロバキア戦は1-0で辛勝。準決勝は、もう一つの大きなライバル、イングランドとの対決になった。

 サッカーの母国といわれるイングランドだが、この時点では主要大会でわずか3度目の4強入り。66年W杯の優勝、68年欧州選手権の3位以来となる進撃に、ファンは興奮を隠せなかった。ボビー・チャールトン引退以後の懸案だったゲームメーカーに、テクニックと戦術眼のあるポール・ガスコインが台頭。大会途中で伝統の4バックから3-5-2に切り替えたことでチームが機能し始め、トーナメント1回戦で好チームのベルギー、準々決勝ではアフリカ躍進の象徴となったカメルーンをともに延長戦の末に退けた。ベルギー戦で決勝ゴール、カメルーン戦で先制ゴールを挙げたデービッド・プラットというラッキーボーイも出現し、上げ潮ムードで西ドイツに挑戦することになった。

 前半は0-0で折り返し。むしろイングランドの方が優勢で、ハーフタイムでトイレに行った際、顔を合わせたサッカージャーナリストの故富樫洋一さんから「イングランド、いいじゃない」と笑顔で声を掛けられた。長年イングランドを応援してきた筆者は何度も裏切られ、悔しい思いばかりをしてきた。「いよいよいい思いができるのか」。後半の戦いに向け、胸が高鳴った。

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