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だからサッカー・ドイツ代表が嫌いだった~最強チームへの敬意を込めて

74年の優勝も幸運のたまもの

 ドイツの幸運と言えば2度目の優勝を果たした74年W杯もそうだ。西ドイツは1次リーグで楽なグループに入ったにもかかわらず、最終戦で東ドイツに敗れて2位通過となった。54年大会同様、これが幸いする。2次リーグでは革命的な「トータルフットボール」で旋風を巻き起こしたオランダ、前回王者のブラジルとは別のグループに。ユーゴスラビアとスウェーデンを退け、事実上の準決勝となった2次リーグ最終のポーランド戦を1-0で辛くも制し、決勝へとコマを進めた。

 ポーランド戦は試合前に激しい雨が降り、試合開始が遅れる事態に。あちこちに水溜りができたピッチ状況は、切れ味鋭い速攻を得意としていたポーランドには不利だった。もし晴天であれば、西ドイツはグジェゴシュ・ラト、ロベルト・ガドハ、ガジミエジ・ディナらが繰り出すポーランドの速攻に、ここで沈んでいた可能性は十分あっただろう。

 オランダとの決勝はPKで1点ずつ奪い合った後、前半43分に右からのクロスを右後方にトラップしたミュラーが体を反転しながら決めて勝ち越し。焦りが出て単調になったオランダの反撃をしのいで2-1で逃げ切った。クライフは開始早々、電光石火のドリブル突破でPKを奪取してオランダの先制ゴールを演出したものの、1点を追う展開となってからはやや冷静さを欠き、チーム全体としても「全員攻撃・全員守備」のトータルフットボールが本領を発揮し切れなかった印象が残った。クライフはブラジル戦で負傷し、万全でなかったという説もある。

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