長年積もった不満から「ドイツ憎し」の立場で見ているせいもあるだろうが、ドイツというのは主要大会でラッキーなことが多いと感じる。
66年W杯決勝のイングランド戦。2-2で突入した延長戦でイングランドのジェフ・ハーストが放ったシュートは、西ドイツゴールのバーをたたいてほぼ真下に落下した。しかし、主審の判定はゴール。これで勝ち越しを許した西ドイツは2-4で敗れて2度目の優勝を逃す。この「疑惑のゴール」は確かに不運だった。ただ、筆者がすぐに思い出せるドイツの不運というのは、この程度。なぜか運に恵まれているという印象が強い。
初優勝を果たした54年W杯も幸運の連続だった。この大会の大本命は「マジック・マジャール」と呼ばれたハンガリー。左足の魔術師フェレンツ・プスカシュを中心に50年代に入って連戦連勝を記録し、自信満々でスイスに乗り込んだ。サッカー史を見ても、ペレを擁したブラジルと「史上最強の代表チーム」の座を争うほどの強豪だったと言えよう。
西ドイツはそのハンガリーと1次リーグで同じ組に入った。ドイツのゼップ・ヘルベルガー監督はここでハンガリーと争っても勝ち目はないと見てメンバーを落として臨み、3-8で完敗する。一方で相手エースのプスカシュを負傷させることに「成功」。また、1位にならなかったことで逆に楽な山に入り、ユーゴスラビア、オーストリアを連破して決勝進出を果たした。
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