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だからサッカー・ドイツ代表が嫌いだった~最強チームへの敬意を込めて

見えてきた理想の頂上決戦

 準々決勝で、アルゼンチンはマラドーナの「神の手」と「5人抜き」の2ゴールでイングランドを2-1で振り切り、フランスはブラジルとの美しい死闘をPK戦の末に制して勝ち上がった。フランスはトーナメント1回戦から前回王者のイタリアとぶつかる(2-0で快勝)極めて厳しい組み合わせだった。ベルギーはソ連、スペインをともに延長の激闘の末に退けた。

 準決勝を前に出向いたメーンプレスセンターで、フリーカメラマンの一人が話していた一言が今も耳に残っている。「ついに、マラドーナとプラティニの決勝対決を見ることができるかもしれないな」。その言葉を聞いていて、「そうか、そうだったのか」と改めてこの大会の理想の決着の構図を目の前に突きつけられた思いがした。

 雑誌が売れるか売れないか、視聴率が上がるか下がるか-。筆者のような通信社や一般紙の記者以上に、フリーランスの記者やカメラマン、テレビ局や雑誌の関係者は人気や数字に敏感だ。楽しい攻撃サッカーのブラジルやデンマークが姿を消した今、最高のフィナーレは「アルゼンチンとフランス、つまりマラドーナとプラティニによる頂上決戦」が実現し、どちらが当代の王様か、決勝で雌雄を決してくれることだ。フリーカメラマンは商売柄、「最も売れる」構図を明確に見抜いていた。

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