ところが、「被害者」が弱小アフリカのアルジェリアとあって、問題が拡大することはなかった。アジアやアフリカが発言力を増している現在なら、処分を要求する声が高まる可能性は十分で、両チームの勝ち点剥奪はもちろん、連盟の資格停止を求める動きが増幅する事態もあり得るだろう。そもそも、コンプライアンスが叫ばれ、世間の目が厳しくなっている現在なら、さまざまな影響を考え、両チームはとりあえず真剣勝負の姿勢で試合に臨むに違いない。
94年W杯でアルゼンチンのディエゴ・マラドーナは大会中のドーピング検査に引っかかって失格となり、アルゼンチンは失速して16強で敗退した。ドーピングは明らかなルール違反。処分は当然だ。ただ、ピッチに立つ22人の選手が特定の結果を求めて無気力なプレーを80分続ける行為は、ある意味では1人の選手のドーピング以上に問題が大きいのではあるまいか。
しかし、82年の両チームの行為は不問に付された。具体的な証拠がなかったというのかもしれないが、試合展開や試合の映像こそが何よりの証拠だろう。長いものに巻かれろか。当時、NHKのW杯解説者を務めていた「ドイツ信者」の松本育夫さんも、この不正行為にはだんまりを決め込んだ。
新着
会員限定