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だからサッカー・ドイツ代表が嫌いだった~最強チームへの敬意を込めて

許せぬ82年の「八百長」

 W杯における疑惑の試合としてよく引き合いに出されるのが78年アルゼンチン大会の2次リーグ最終戦でアルゼンチンがペルーを6-0で破った一戦だ。アルゼンチンとブラジル、ポーランド、ペルーが同居したグループでアルゼンチンとブラジルが2勝1分けで並び、得失点差で上回ったアルゼンチンが決勝に進出し、地元で悲願の初優勝を果たした。ペルーとの最終戦を前にブラジルは3試合を終えており、アルゼンチンは4点差以上の勝利なら決勝進出、3点差以下ならブラジルが1位という状況だった。

 この試合でアルゼンチンはペルーに6-0で快勝し、ブラジルを得失点差で制した。後になって、アルゼンチンの軍事政権がペルー側に負けを依頼したとのうわさが浮上。ペルーのGKラモン・キローガがアルゼンチンからの移民選手だったことも疑惑を膨らませた。決勝進出を左右する大事な試合で、当事者が列強のライバル、ブラジルとアルゼンチンとあって、いまだに話題になる戦いだ。

 真相は分からない。ただ、同じ「八百長」なら西ドイツ-オーストリアの方がはるかに悪質だと筆者は考える。78年W杯でブラジルは2次リーグ第2戦でアルゼンチンを直接たたくチャンスがあったにもかかわらず0-0の引き分け。対する82年のアルジェリアは西ドイツを破る「ジャイアント・キリング」を演じて世界のファンを驚かせていた。マリオ・ケンペスを中心としたアルゼンチンは勢いに乗ればペルーに圧勝する爆発力を間違いなく保持していた。疑惑はあくまで疑惑。一方の西ドイツ-オーストリアは連盟の指示や金銭のやり取りはなかったかもしれないが、両チームの選手たちがある特定の結果に向けて80分間以上を浪費したのは、子どもの目にも明らかだった。

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