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【会見】近衛忠莩国際赤十字・赤新月社連盟会長

災害復興、開発協力も視野に~就任1年~

東京・内幸町のフォーリン・プレスセンターで会見する近衛赤十字会長【時事通信社】

 国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC、本部ジュネーブ)会長を務める近衛忠莩日本赤十字社社長は2月22日、東京・内幸町のフォーリン・プレスセンターで、外国特派員らと会見し、頻発する大規模災害への赤十字の対応について、従来の緊急救援に加え、復興や災害対策も視野に入れた開発協力についても力を入れていく考えを示した。

 発言内容は以下の通り。

 一昨年(2009年)の11月に国際赤十字・赤新月社連盟の90年の歴史の中で、初めてアジアからの会長として選出された。会長職がこれほど忙しいとは思っていなかった。この15カ月間に18カ国を回った。その中には、大きな災害に見舞われたハイチやパキスタン、スリランカも含まれる。

 なぜ、忙しいのかと言えば、それだけ災害が増えているということ。昨年1年間の連盟の救援アピールを見ると、30回あった。その前年は19回。ハイチやパキスタンなどは歴史に残る大きな災害だ。

 時代が激しく動いている中で、各国の赤十字が多くの課題を抱えている。

 災害について言えば、多発化している、大規模化している、複雑化しているといった3つの点が挙げられる。多発化の原因については、気候変動、環境破壊、都市への人口流入、より根源的には貧困などがある。

 大規模化については、人的被害はハイチを例外としてむしろ減ってきていると思うが、被害そのもの、被害額は世界的に大きくなっている。それだけに政治的、経済的インパクトが大きく、社会不安や政情不安につながる可能性が大きい。

 複雑化とは、紛争地帯で災害が増えているということで、難民が出ることもある。治安の問題やアクセスの問題があり、救援活動に制約が出てくる。

 救援活動は盛んになっており、人道活動のプレーヤーが非常に増えてきている。1つはインターネットの普及で情報伝達の速度が速くなったということが言える。増えているプレーヤーは先進国、途上国問わずで、調整が非常に難しくなってきている。

 援助する側の状況を見ると、政府、軍隊の関与が増えてきている。動機的には、ボスニア・ヘルツェゴビナあたりから言われた、人道的介入、救援のための治安を維持しなければならないということ。

 その延長線上に、EU諸国が中心だが、保護の権利がある。「援助するのも権利」という主張がある。

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