4月27日、日本銀行は金融政策決定会合を開催し、新たな追加金融緩和策を決定した。
特筆すべきは、「国債買い入れ枠を無制限に拡大」し、“事実上の財政ファイナンス”に踏み出したことだ。
そこで今回は、この「財政ファイナンス」について紐解いてみたい。
発表文に説明なし
この決定会合まで、日銀は、
「長期国債の保有残高の増加額を、年間約80兆円をめどとしつつ、弾力的な買い入れを実施する」
という手段を掲げていた。
しかし今回、実際の長期国債の年間買い入れ額の実態は10兆円台まで低下していた(買い入れ枠に大幅な余地があった)にもかかわらず、買い入れ限度額を“無制限”に拡大した。
この点について、筆者は黒田総裁の会見直前、4月27日当日朝の拙稿『本日開催「日銀」金融政策決定会合「中身」と「効果」』で、
「日銀が国債買い入れ枠を無制限にすることは“限りなく財政ファイナンスに近い”」
と指摘しておいた。
そしてその理由として、
「終息の予測が付かない新型コロナの対策として、今後、より一層の財政出動が必要となり、巨額の財政出動が必要な場合の需要に応え、(赤字)国債の大量発行による金利上昇を抑制するための“ラストリゾート”」
とするために今回「無制限への拡大」をするだろうと予測し、説明した。
では、当の日銀はどのように説明したか。
発表された文書『金融緩和の強化について』では、
「(3)国債のさらなる積極的な買入れ」
とする項目の説明に付記した注意書きで、
「金利が急速に上昇する場合には、迅速かつ適切に国債買入れを実施する」
と書かれているだけで、どこにも「買い入れ枠を無制限にする」とも、その説明も書かれていない。
しかし、同日の記者会見で黒田東彦総裁は、間違いなく、
「買い入れ上限を設けずに、必要な額の長期国債の買い入れを実施する」
と述べている。そして、
「国債買い入れは金融政策上の目的で行っているものであり、(中略)あくまでも金融政策運営上の必要に基づいて実施している措置」
であるとして、決して「財政ファイナンスではない」とも強調した。
関連記事(新潮社・Foresightのサイト)
バックナンバー
新着
会員限定