外交政策への言及はほとんどなかったが、NATO(北大西洋条約機構)の同盟国がより大きな負担を引き受けたことを、自身の実績として誇ったことから、今後、日本への駐留経費負担増の要求は高まることが予想される。
本来ならば、中国に対峙する米国にとっては、日本のような同盟国との関係維持は重要なはずだ。だが、トランプ大統領にとって「アメリカファースト」は譲れない課題である。
しかも一般教書演説でトランプ大統領は、中国との通商交渉の「第1段階」合意の成果を誇り、「習近平主席を尊敬している」とまで語る一方で、同盟国の重要性を語ることはなかった。
ニューハンプシャー州での予備選を控えていた民主党のバイデン前副大統領は、トランプ大統領の同盟国軽視を厳しく批判している。
このように、トランプ大統領の一般教書演説は、あまりにも独善的で党派的だったために、リベラルおよび民主党支持者には、到底受け入れられない類のものだった。
トランプ大統領は演説直前に、民主党のナンシー・ペロシ下院議長との握手を拒み、党派対立を助長するような演説を行った。このこともあり、ペロシ議長も演説後に一般教書演説の原稿を破り捨てる「パフォーマンス」を行った。
『CNN』のコメンテーターは、この状況を、「State of the Union」(一般教書演説の英語名「団結の状態」)ではなく「State of a Divided Nation」(分裂の状態)と皮肉った。
民主党側は、トランプ大統領が今後ますます議会の意向を無視して、独断的な反移民政策や独善的な外交・安全保障政策を進めることを危惧している。これは杞憂ではないだろう。
一方で、保守派のトランプ支持層は、党派的な一般教書演説と弾劾無罪評決によって、大統領への支持を益々強め、民主党への敵愾心も高まっていくと予想される。
つまり米国は、11月の大統領選挙に向けて、民主党、共和党のどちらにも求心力が働き、米国をますます二極化させることになるだろう。
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