全般的に明るいトーンの一般教書演説だったが、自身のコアな支持層にアピールする課題については、相変わらずダークな内容だった。
それは、不法移民による犯罪、およびテロリストやイランからの脅威である。いかに一般市民や中東での米兵が、不法移民やテロリスト、イランからの脅威にさらされているかという点を強調し、それに対する断固たる姿勢をとることを強調した。
トランプ大統領も、少なくとも1月31日までは、自身の訴追について必ずしも安心できない状況にあった。
民主党議会がジョン・ボルトン前国家安全保障担当補佐官やミック・マルバニ―首席補佐官代行を証人として招致する動議を提出する予定だったからだ。
もしこの動議が可決されていれば、トランプ大統領に不利な証言がなされ、弾劾裁判の流れを変える可能性があった。
『ニューヨーク・タイムズ』が、ボルトン氏の回顧録の草稿を入手し、トランプ大統領がバイデン親子に不利な情報をウクライナ政府から引き出すためボルトン氏に協力を求めた、という事実を報じているからだ。
1月31日に上院民主党が証人招致の動議を出した際、共和党から4人の造反者が出るかが注目されたが、約4時間の審理後の採決は、賛成49、反対51で動議が否決された。
共和党からは、中道派のスーザン・コリンズ、ミット・ロムニー両上院議員の2人しか造反者は出なかった。
そして一般教書演説後の2月5日、上院の評決で、トランプ大統領は「権力乱用」について、有罪48対無罪52で弾劾罷免を回避した。
この最終票決では、共和党はロムニー議員だけが有罪に投票した。
一連の弾劾プロセスは、民主党支持層には納得できないものとなった。十分な証拠や証人証言の検証なしに「臭いものにふたをした」イメージが強かったからだ。
これは、かつて民主党のビル・クリントン大統領みずからが上院の席で、モニカ・ルインスキーとの性的な関係を赤裸々に語った1998年の弾劾とは、大きく異なるものと受け止められたはずだ。
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