憲法改正「1月革命」はプーチン時代「終わりの始まり」か
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名越 健郎

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が1月15日の年次教書演説で発表した一連の憲法改正案は、権力機構を再編するもので、ロシアのメディアでは「1月革命」と呼ばれている。1993年に米政府の協力も得て制定された現行憲法の初の大掛かりな修正となる。

 プーチン大統領が2024年の任期満了後も実権を握るための布石とされるが、自身がどのポストに就くのかは明らかでない。

 改正が実現すれば大統領の権力は弱まり、権力が分散して政治の不安定化につながる恐れもある。

年内に憲法改正も
 プーチン氏が提案した統治機構の改革指針は次の7点だ。

(1)首相や閣僚の任命権限を大統領から下院に移し、議会の責任を重くする。大統領は議会の任命した閣僚を拒否できない。
(2)ロシアは引き続き大統領制国家であり、大統領は軍や情報機関を直接管轄する。大統領の任期は「連続2期まで」から「2期まで」に制限。
(3)大統領候補になる条件は、ロシア国内に25年以上(現行は10年以上)住み続けた国民であること。1度でも外国の市民権や居住権を得た人物は候補になれない。
(4)ロシアの巨大な面積や多様性を勘案し、連邦の政治における地方知事の権限を強化する。知事らがメンバーの大統領諮問機関「国家評議会」を主要な国家機関と憲法で位置づける。
(5)主権国家の地位を強化するため、国民の権利や自由を制限する場合は、国際法や国際機関の決定より国内法を優先する。
(6)経済、社会問題に対処するため、地方の権限を強化する。
(7)上院は大統領の提案に基づき、最高裁や憲法裁判所の判事を解任する権限を持つ。治安機関トップは、大統領が上院の助言を受けて任命する。

 演説の直後、ドミトリー・メドベージェフ首相率いる内閣は機構改革を急ぐため総辞職し、大統領は新首相にミハイル・ミシュスチン連邦税務局長官を指名、下院で承認された。

 大統領は改憲の関連法案を早々と議会に提出、憲法改正のための作業部会もスタートした。メンバーは政権寄りの議員や学者らで、スムースに策定されそうだ。

 大統領は任期をまだ4年残すが、予想外の早い仕掛けで、年内にも憲法が改正されよう。その場合、プーチン氏の大統領辞任を含め、早期に新体制に移行する可能性が出てきた。

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