米イラン「軍事衝突」苦悩する「EU」ほくそ笑む「プーチン」
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米国の友好国が標的になるか

 米国はイランから地理的に遠い。イラクの米軍基地も強固に守られている。このためイランの標的として懸念されているのが、米国の友好国であるサウジアラビアやカタール、オマーンなどの湾岸諸国、さらにイスラエルである。

 イスラエルは、これまでもイランを最大の脅威と見なし、ソレイマニ少将の一挙一動を注意深く監視してきた。シリアは南西部でイスラエルと国境を接している。ソレイマニ少将は内戦によるシリアの混乱に乗じて、この国のシーア派武装勢力とともに、シリアに軍事拠点を作ろうとしてきた。イランの最大の敵国の1つ、イスラエルに対して目と鼻の先から睨みをきかせるためである。

 イスラエルは、コッズ旅団がイランからシリアの拠点にミサイルや弾薬を運ぶトラックを幾度となく爆撃し、ソレイマニ将軍がシリアに恒久的な軍事基地を建設するのを阻もうとしてきた。

 私はこれまでイスラエルに10回、ヨルダンに2回足を運び、現地の状況を見てきた。日本のメディアはほとんど伝えなかったが、イランはすでに2018年以降、イスラエルに対する挑発をエスカレートさせていた。

 2018年2月9日には、イスラエルとコッズ旅団が初めて直接交戦した。

 コッズ旅団は、シリアのホムス近郊にあるT4と呼ばれる基地からドローンを離陸させ、一時イスラエルの領空を侵犯した。イランがシリアの基地から、ドローンを使ってイスラエル領空での強行偵察を行ったのは初めてのことだった。

 イスラエル空軍は直ちにF16型戦闘機を発進させてドローンを撃墜した。だが同機はシリア軍が発射した対空ミサイルによって損傷を受けた。イスラエルのF16のパイロットはパラシュートで脱出し、機体はイスラエル領内に墜落した。イスラエル側は、「イランはシリアに拠点を築きつつあることを、我々に対して誇示したかったのだろう」と分析している。

 事態を重く見たイスラエルは、同年4月9日の未明にT4基地を爆撃し、滑走路や格納庫を破壊した。この空爆により、コッズ旅団に属するイラン人7人を含む14人が死亡したほか、イラン軍のドローンや、自走式防空管制システムなどが破壊された。イスラエルは、コッズ旅団がシリアに恒久的な拠点を築くことを防ぐために、T4爆撃を強行したのだ。

 シリア・イランと良好な関係を持つロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、4月11日にネタニヤフ首相に電話をかけ、

「シリア情勢をこれ以上不安定にするような動きは避けてほしい。アサド政権の主権を尊重するべきだ」と要請したが、これに対しネタニヤフ首相は、

「イスラエルは、シリアにイランが拠点を作ることを絶対に許さない」と反論した。

 欧米の軍事関係者がイスラエルのT4爆撃に注目しているのは、イスラエルがイランの軍事施設を攻撃し、イラン側に死傷者が出た初めてのケースだからである(私はこの事件について、2018年4月に日本のデジタルメディアに記事を掲載した)。

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