去る10月18日、NSC(国家安全保障会議)は、「中東情勢の悪化」が日本船舶の航行の安全を脅かすとして、海上自衛隊(以下「海自」)の部隊を「調査・情報収集」目的で中東海域に派遣する検討に入った。根拠は、防衛省の所掌事務などを定めた法律「防衛省設置法」の第4条第18号「所掌事務の遂行に必要な調査及び研究を行うこと」であって、同規定に地理的制限はない。
「悪化」は、これまでにも増して「我が国に対する脅威」が差し迫っている状況を言うのだが、政府の説明では、現時点、どのような現象をもって「悪化」とするかが不明確だ。というより、ほとんど何も説明されていない。
シーレーンや石油施設への攻撃は直接的であり日本の石油資源確保に影響するから、攻撃に対する防衛政策推進は、軍事・外交・経済など総合的に検討されなければならない。
これらについて国民が知り得る情報は、メディアの発信に限られ、政府が丁寧に説明しない限り、国民が自衛隊派遣の事情を知ることは難しい。
ここでは、「悪化―防衛―自衛隊派遣」の文脈の整理を行い、「軍事的政策」に関わる認識を促したい。
■林吉永氏■
NPO国際地政学研究所理事、軍事史学者。1942年神奈川県生まれ。65年防衛大卒、米国空軍大学留学、航空幕僚監部総務課長などを経て、航空自衛隊北部航空警戒管制団司令、第7航空団司令、幹部候補生学校長を歴任、退官後2007年まで防衛研究所戦史部長。日本戦略研究フォーラム常務理事を経て、2011年9月国際地政学研究所を発起設立。
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