「成長戦略の一丁目一番地」だとしてきた「規制改革」に、どうも安倍晋三首相は関心を失ってきた模様だ。
7月に設置期限を迎えていた政府の規制改革推進会議の後継組織の設置がようやく固まったのだが、人選を含めどうも「本気度」が感じられない。首相のリーダーシップが弱まったことで、業界や「霞が関」など「既得権層」の巻き返しが強まっている。
議長の後任が焦点
今回、規制改革推進会議は「常設組織」になることが決まった。これまでは3年間の時限組織で、毎回、後継組織をどうするのかが問題になってきた。常設化によって提言した改革の進捗などに目を光らせることができる。
実はこの常設化、自民党の行政改革推進本部が提言していたものだ。閣内や自民党内で長年にわたって規制改革を主張してきた塩崎恭久・衆議院議員が本部長で、若手改革派のホープである小林史明・衆議院議員が事務局長を務めてきた。提言では「内閣府設置法上の重要政策会議(第18条)として位置づけ、経済財政諮問会議や総合科学技術会議などと同様に、法定化・常設化を図るべきである」とされていた。
法定化して経済財政諮問会議のように権限が明示されると、そこで決まったことに霞が関は反対できない。設置根拠が法律ではなく、政令などで定める「審議会」と同様ならば、役所のコントロールが効く。霞が関はこの「法定化」に水面下で反対し、葬り去ることに成功した。
本来ならば首相官邸、官房長官や首相自身が強く指示すれば、実現することも可能だったが、霞が関のペースで事は進んだ。結局、「常設化」の部分だけが残り、法律ではなく、政令によって常設組織とすることになった。
注目されたのは人選だ。これまでは、民間人として経済財政政策担当大臣などを務めた大田弘子・政策研究大学院大学教授が議長を務めてきたが、その後任が誰になるのかが1つの焦点だった。
規制改革推進会議は通常の審議会と違い、「既得権」と真正面から対峙する。規制によって新規参入が阻害され、それによって既存の事業者が守られているところに、競争を起こそうとするわけだから、既得権者の反発は凄まじい。議長や委員には、これと戦う胆力だけでなく、力量も求められる。
通常の審議会ならば、役人が作ったシナリオに乗って意見を言うだけで済むが、規制改革ではしばしば役人も既得権側の意見を代弁していることが少なくない。改革派の官僚をブレーンにして、規制を突破していくことが必要になるのだ。それだけに、通常の審議会とは違った強力な権限を持つ法律の裏付けが必要だというのが自民党提言の背景にあった。
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