実質破綻「国連」分担金制度いまこそ見直しを
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鷲尾 香一

 国際連合(以下、国連)が悲鳴を上げている。

 「2019年の通常予算に基づく活動に必要となる総額のうち、加盟諸国は70%しか納付していない。これにより、国連は9月末に2億3000万ドル(約250億円)の現金不足に陥り、このままでは流動性準備金も今月末までに使い果たす恐れがある」

 これは、10月7日にアントニオ・グテレス事務総長が国連事務局の職員3万7000人に送った書簡の内容の一部だ。10月末にも職員の給与や各手当の支払が滞る可能性があるため、コスト削減のために会合や会議を延期し、サービスを縮小する、としている。企業で言えば、事実上、倒産寸前だ。

 国連の予算は、国連憲章第 17条の規定により、全世界の国民総生産に占める加盟国の割合を出し、国民1人あたりの所得など多くの要因を考慮に入れて調整、総会の割り当てに従って加盟国が負担する。

 2019年の国連加盟国各国の分担金は、以下のようになっている。

 これによると、2019年の予算総額は28億4900万ドル(約3100億円)。

 分担率上限の22%の6億7420万ドル(約730億円)を米国が負担し、第2位は中国の3億3470万ドル(約360億円)、日本はそれに次ぐ第3位の2億3880万ドル(約260億円)の負担となっている。

 問題となっている加盟金未納国は、アフリカ諸国や中東諸国が多いのだが、実は、分担率筆頭の米国も含まれているのだ。

 国連活動を阻害しかねない加盟国の負担金未納という事態だが、これは何も2019年に限ったことではない。2018年7月25日にも、グテレス事務総長は、

 「加盟国が分担金の支払いを遅らせているため、現金がすぐに底をつきそうだ」

 と、今年と同様の書簡を職員に送っている。

 2019年の未納国の詳細は明らかにされていないが、2018年の時には、米国を含む81カ国が未納だったことが明らかになっている。つまり、負担金の未納は“毎年恒例化”されており、非常に憂慮される事態になっているのだ。

 特に、国連本部をお膝元のニューヨーク州ニューヨーク市マンハッタンに抱え、分担率筆頭で安全保障理事会(以下、安保理)常任理事国でもある米国が毎年のように負担金の未納という事態を引き起こしていることの問題は深刻だ。

 国連憲章第19条によれば、分担金の支払い延滞金額が、加盟国が支払うべきであった分担金の2年分になった時は、その加盟国は国連総会における投票権を失う。ただし、総会が延滞はやむを得ない事情によるものと認めた場合は、投票が許されることになっている。

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