中国人民元への影響も考えられる。
中国では不動産の私有が認められないなど、資産の保有に大きな制約が課されている。このため、富裕層は、資産を外国で保有したいと考えている。人民元からの資本逃避は、中国政府がつねに直面する重大問題なのである。
実際、2013年には、人民元からビットコインへの大規模な資金流出が起きた。
リブラの出現に最も強い危機感を抱いたのは、実は中国だったのではないだろうか?
この連載の第1回「新しい仮想通貨『リブラ』の衝撃」で述べたように、欧米の政府・中央銀行は、リブラを取り潰しにかかっている。これを見て一番喜んだのは、中国かもしれない。
日本も例外ではありえない。
日銀券よりリブラのほうが、便利であるばかりでなく、価値が安定した支払い手段になる可能性が高い。そうなれば、日本銀行は金融緩和政策をいつまでも続けて円の価値を際限なく低下させることはできなくなるだろう。
もし多くの日本人が、日常の決済に円ではなくリブラを使うようになれば、円は駆逐され、日本銀行は無用の存在になってしまう。政府も重大な危機に陥る。これは、決して荒唐無稽な空想小説ではない。
このように、リブラは、各国の政府や中央銀行にとって大きな脅威になるだろう。リブラの計画が発表されて直ちに、政策当局から反対の大合唱が起きたのは、このためだ。
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