「政府」「中央銀行」への本質的な「リブラの脅威」
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弱小国通貨は、リブラに取って代わられる

 経済運営に失敗してハイパーインフレーションを起こした国は、歴史上いくつもある。

 現在の世界では、ベネズエラがその例だ。

 ハイパーインフレが発生し、2019年1月のインフレ率は268万%にもなった。国民は自国通貨でモノを買うことができなくなった。蓄積してきた資産も無価値になった。そして、多くの人々が国外に逃げ出している。

 もしリブラがドルに対して価値を維持することに成功すれば、ベネズエラの国民は、自国通貨である「ボリバル」ではなく、リブラを用いるだろう。リブラの利用に国境の制約はなく、スマートフォンさえ利用できれば、どの国民であろうが、自由に送金したり受け取ったりすることができるからだ。ボリバルより便利に使える。

 しかも価値が安定しているから、国民はハイパーインフレの災厄から逃れることができる。

 しかしそうなれば、ボリバルは駆逐され、使われなくなってしまうだろう。

 こうしたことになるのは、ベネズエラだけではない。リブラが成功すれば、弱小国通貨からリブラへの大規模なキャピタルフライト(資本逃避)が起こる可能性がある。

 これは、経済が破綻している国にとって、緊急に対処が必要な深刻な問題だ。

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