習近平政権は10月1日(中国の国慶節)の建国70周年を最重視している。香港情勢はその前後、どう変わっていくのだろうか。
本稿の趣旨は、今後、香港の反政府デモの情勢次第で中国共産党が「武装力量」(中国の憲法および国防法によって規定されている武装組織を包括した呼び方。人民解放軍、人民武装警察部隊、民兵を指す)を香港に投入するか否かの分析である。複数の中国筋の指摘、今の習近平政権と1989年の天安門事件当時の政権との比較、武装力量を投入する条件などについて考察しようと思う。
香港政府が「逃亡犯条例」改正案を撤回した。メンツを重んじる北京にとっては異例の判断であるとされ(筆者の見解はやや異なるが)、「香港での過激な反政府行動は下火になっていくのではないか。散発的に過激な破壊行動があっても、まさか中国軍を『国際金融都市』香港に展開するという、中国の国際関係にダメージを与えるリスクの大きい手段を北京がとることはないだろう」との見方が多いのではないか。
しかし、中国筋の見解は全く異なっており、筆者の結論は、「爆破事件」、「公共施設に対する持続的破壊行為」などがあれば、中国共産党中央が中央軍事委員会傘下の人民武装警察部隊(武警)などを香港に展開する口実となり、その可能性は十分にあると考える。少なくとも50%以上の確率で。
しかし、仮に実行してもその試みは結果的に政治的に失敗とみられてしまうだろう。
■野口東秀氏■
中国問題を研究する一般社団法人「新外交フォーラム」代表理事。初の外国人留学生の卒業者として中国人民大学国際政治学部卒業。天安門事件で産経新聞臨時支局の助手兼通訳を務めた後、同社に入社。盛岡支局、社会部を経て外信部。その間、ワシントン出向。北京で総局復活後、中国総局特派員(2004~10年)として北京に勤務。外信部デスクを経て12年9月退社。14年7月「新外交フォーラム」を設立し、現職。
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