自民党役員会の後、記者会見する高村正彦副総裁=2014年09月03日、東京・永田町の同党本部【時事通信社】
だが、一筋縄ではいかない。政府内や自民党内に強硬な増税論者がいるからだ。
「直近のGDPが悪いなんて言う人がいる。だが、民主党政権の時と比べれば格段に良くなっている。それを忘れてもらっては困る」
「増税を断念した際の国債暴落はデング熱程度なのか、それともエボラ出血熱なのか。俺はエボラ出血熱だと思う。増税すればデング熱、増税をやめればエボラ出血熱。どちらを選ぶか」
いずれも、自民党の高村正彦副総裁の発言である。エボラ出血熱を持ち出すなど少し不謹慎なたとえ方ではあるが、言いたいことはよくわかる。
同じく積極派の急先鋒である谷垣幹事長は10月3日の記者会見で、党内から増税先送り論があることについて尋ねられると次のように答えた。
「あまり私が先走って、ああだこうだと言う段階ではないと思う。よく見ていくということだ」
この発言をとらえて、一部のメディアは、谷垣氏が増税積極派から中立的な意見に軌道修正したと報じた。自民党幹事長就任に伴って、安倍首相と足並みをそろえたというわけだ。
だが、谷垣氏は同じ記者会見の中で、民間企業からの「増税は好ましくない」という意見に対して、
「地方、それから中小企業の中には、なかなかまだ苦しいというか、あまり浮かんでこない感じのところもある。しかし、他方、全体から見ると、やはり良い方向に向かっているように感じる」
と述べている。要するに、谷垣氏は日本経済の現状についてそれほど悲観的ではない。あるいは悲観的であったとしても、消費税増税先送りの方が大きなリスクになると判断している。安倍首相に歩調を合わせたようにみせて、実際は持論である消費税増税を譲ってはいない。
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