政府の税制調査会であいさつし、復興財源をめぐって臨時増税の検討を進めるよう指示する野田佳彦首相。左は安住淳財務相=2011年9月7日、東京・首相官邸【時事通信社】
ジャーナリスト
出井康博 Idei Yasuhiro
野田内閣が有権者の高い支持を得て発足した。日本経済新聞の調査(9月2-3日)によれば、歴代6位の67パーセントもの支持率だという。新首相の野田佳彦が民主党代表選演説で自らを「ドジョウ」に重ね合わせたことも効果を発揮したのであろう。しかし「ドジョウ」を除いて、有権者が野田について知る情報は限られる。これほど国民に素顔を晒すことなく、総理の座に就いた政治家も珍しい。
民主党が野党だった頃、筆者は野田に何度かインタビューしたことがある。取材テーマは、野田が1期生として学んだ政治家養成機関「松下政経塾」である。当時の印象は「真面目そうだが、面白みのない人だな」という程度だった。高慢ではないが、演説で見せるウィットもない。会えば魅了されるような「人たらし」でもなかった。
野田は、創設30年以上になる政経塾から初めて誕生した首相だ。間近で野田を見てきた塾関係者に、彼はどう映っているのか。取材してみると、野田への評価は2つに分かれた。塾の同期たちは「昔から寡黙で、他人の話をよく聞く」「性格は素直で、敵が少ない」と口を揃える。しかし、後輩たちからは、 「うまいのは演説だけ」
「頭にあるのは自分の出世ばかりで、塾同期の逢沢(一郎・自民党衆議院議員)さんなどと比べても、後輩の面倒見が良いわけでもない」
といった辛辣な声が意外に多い。事実、塾後輩の民主党国会議員にも、野田グループに属する者は少数だ。なぜ、野田は後輩たちに評価されないのか。彼の政治家人生を振り返りつつ、その理由について述べてみたい。
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