福島第1原子力発電所の1・2号機主排気筒根元付近を、放射線の強弱が分かる「ガンマカメラ」で撮影した画像。中央の赤い部分で過去最高の毎時10シーベルト以上の線量が測定された。右上の赤い部分は未調査=2011年7月31日午後4時ごろ[東京電力提供]【時事通信社】
恣意的な断片情報による世論操作の典型例が、原発排気筒の底部で毎時1万ミリシーベルト以上という極めて高い線量が観測されたとする、8月1日の東京電力の発表である。
福島第一原発の1号機と2号機の排気筒底部で、1万ミリシーベルトまでしか測れない線量計が振りきれたという。また4日には、そこにつながる配管付近でも毎時3600ミリシーベルトが観測されたと発表した。メディアはこぞって「原発サイト内で最強の放射線」と大きく報じた。
何の疑問も持たずにこの数字を垂れ流した時点で、報道機関としては失格である。無能といってもいい。広報機関に徹していて、報道なんかとっくに放棄しているというのであれば別だが、いささかの自負が残っているなら、数字の意味と発表の意図を問いただし、ニュースとしての価値を評価せねばならないはずだ。
東電は3月12日のベントの際に付着したとするが、事故から5カ月もたってから、1時間浴びたら死に至るような高線量区域が突然「出現」したのはなぜか。本当に8月1日に新たに見つかったのか。同じ区域の7月1日の線量はどうだったのか、6月1日、5月1日、4月1日には、それぞれどうだったのか。そこを確認せずに「高線量区域見つかる」と報じたとしたら、お粗末というほかない。
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