会員限定記事会員限定記事

◆コラム 土俵も客席も「ウィズコロナ」
 若林哲治の土俵百景

2023年01月17日20時00分

マスク外して「ヨイショ!」

 新型コロナウイルスとの闘いは、まる3年になろうとしている。他の競技団体に比べて日本相撲協会はまだ慎重だが、初場所の館内には、だいぶ相撲見物らしい雰囲気も戻ってきた。

 コロナ禍では外部スタッフが立っていた木戸(入場)口には、親方衆が戻って入場券をもぎり、時折、現役時代を知るファンがカメラを向けている。2階席には中高生などの団体客が入るようになった。観客動員の回復には団体客が不可欠だ。

 客席での飲食に加え、マスク越しなら声を出す応援も解禁された。照ノ富士の休場で横綱土俵入りはないが、弓取り式では四股に合わせて久々に「ヨイショ!」の声が館内に響く。

 入場者数の上限をまだ定員の91%に当たる9700人としているので、コロナ前の満員御礼とは実数が違うが、中日までに5日、垂れ幕が下がった。

 半面、マスクをしていない観客も増えた。幕内後半頃になると3割以上がしていないように見える。声援がマスク越しかそうでないかは、声で分かる。コロナ禍の間、大相撲の観客は多くの感染対策を我慢強く守っていたが、だいぶ様変わりした。

 無理もない。せっかく2人、4人と連れ立って国技館へ来て、なかなか升席で「黙食」とはいかない。館内で販売されるメニューも増えた。一杯飲みながら外したマスクを、戻し忘れることだってある。食事やおしゃべりをしながら和やかに楽しむのが、相撲見物なのだ。

 その一方で、新たな変異種の到来や死者数の増加が報道され、世界はまだ不安を拭い切れていない。何をどうすればどうなるか、誰にも分からず、なるようにしかならないと思考を止めざるを得ない空気が、漂っている。

バックナンバー

新着

会員限定

ページの先頭へ
時事通信の商品・サービス ラインナップ