2022年04月25日11時54分
夏場所の番付が発表された。番付に載った力士は638人。春場所の新弟子が加わったので若干増えたが、900人を超えていた最盛期の3分の2ほどだ。三段目の定員が東西100枚200人だったのを、90枚180人に減らした。三段目が180人になるのは1983年九州場所以来だという。
大相撲人気の盛衰を表す数字は、本場所の入場者数や満員札止めの回数、日本相撲協会の年間事業収益、巡業の回数などがあるが、力士の総数と新弟子検査の受検者数は大相撲の将来にかかわる。八角理事長(元横綱北勝海)は強い危機感を抱き、新弟子のスカウトに全力を挙げるよう親方衆に訴えている。
2015年から協会ナンバー2の事業部長を務め、4月で65歳定年となる尾車親方(元大関琴風)は、2月に部屋を畳むまで35年間、師匠として力士のスカウトと育成に当たってきた。どんな苦労があったか、相撲界が直面する難局をどう見るか、聞いた。
85年九州場所限りで現役を引退。佐渡ケ嶽部屋付きの親方となってから独立を決意し、87年3月に部屋を興した。弟子5人のスタート。それからスカウトが本格化した。「後援者やブレーンのような人たちに会うたびに、いい子がいたら教えてほしいと頼んで、その中に熱心な人がいて情報をくれるようになっていった」
アマチュアの大会に足を運ぶのもスカウトの基本。「(青森県の)十和田には毎年行った。夏に高校と大学の大会があって、出場するような選手は行く先が決まっているから、直接のスカウトより人脈づくり。そこで縁ができて、舞風(元十両、07年引退)もその1人だった」
35年間でスカウトした力士は「『入った』だけを合わせたら何百人。1日だけのもいたし、一瞬というのもいた」という。「一瞬」とは―。
「部屋の玄関を入って、ちょっと休憩して待っていてと言って、1時間ぐらいしたらいなかった。空港で親や親戚から涙、涙で見送られて来たのに。1週間、行方が分からなくて、実家方面へ向かう途中の県で見つかった。電車を乗り継いで行ったらしい。迎えに行ったけど、そのままやめた」。理由は分からなかった。
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