大相撲の親方2人が暴力団組長らに土俵下の「維持員席」で観戦できるよう便宜を図ったとされる問題などで開かれた日本相撲協会の理事会を終え、厳しい表情の武蔵川理事長(右手前、元横綱三重ノ海=2010年5月27日、東京・両国国技館【時事通信社】
そもそも芸能界やスポーツ界の有名人には、そうした人たちが近付いてくる。スターの面倒を見ているというのが一つの見栄になるからだが、「ごっつぁん体質」がある相撲界の人々は、誘いに乗りやすい。
巡業で関係ができるパターンも多い。戦後になって競輪、競馬などの公営ギャンブルが整備され、賭博による収入が先細りになった暴力団が、芸能やスポーツの興行に進出するようになった。山口組が芸能プロダクションをつくって美空ひばりらの興行を手掛け、ひばりの記者会見に田岡一雄組長(当時)が同席していたことなどは、よく知られている。
中でも大相撲の巡業は、所帯が大きい。イベント会社などというものがなく、地方都市にホテルさえ十分になかった時代では、力士の宿泊先の確保など苦労が多くて、地元有力者の協力がないとできなかった。1980年代、初めて巡業地へ先乗りして準備をする担当になった親方が、「行ってみたら勧進元がやくざじゃないか」と言って怒ったことがある。ほかの親方は、そんなことも知らなかったのかと、驚いていた。
その上、腕一つで身を立てようと相撲界や芸能界を志す若者には、家庭環境に恵まれず、親族に暴力団関係者がいる例がしばしばある。千代の富士の結婚式に暴力団関係者が多数出席していたことが問題になり、相撲協会が暴力団との関係を断つよう親方衆に命じた時に、「親せき付き合いもやめろってことか」と苦笑した親方がいた。
夜の街などでトラブルになり、抜き差しならない関係ができるケースもある。金と体力があるプロスポーツ選手には、その種のトラブルが多い。20年ほど前の話だが、プロ野球のA球団で監督がぼやいていた。「うちの若い選手がやくざのコレ(小指)に手を出してなあ。ワシが話をつけに行ったんや。何で監督がそんなことまでせにゃならんのや」。同じころ、B球団にいた2軍選手を、C球団がどうしても欲しいと言ってきたことがあった。2軍でそれなりの活躍はしていたが、その選手がC球団の地元の組長の親族で、トラブルを解決するための「パイプ」として欲しいというのが一番の理由だった。A球団はフロントにそうした「人材」がいなかったので、監督が話をつけに乗り出すはめになったのだった。
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