仕切りをする千代の富士(東京・墨田区の両国国技館)1985年01月19日【時事通信社】
1年納めの九州場所が始まった。
九州場所が少しぐらい盛り上がっても、終りよければすべてよしとはとてもいえないのが今の相撲界だが、一つずつ、少しずつ、真摯に何かを変えていかなければ、存亡の危機からは抜け出せないだろう。
朝青龍のサッカー騒動や八百長報道裁判、大麻問題とその対応に比べれば地味ながら、立ち合いの正常化もその一つだ。武蔵川新理事長(元横綱三重ノ海)のにらみがどれだけ利くか、を示すものでもある。
相撲協会はこれまでも、たびたび立ち合いの正常化に取り組んできた。この四半世紀でいえば、最初は1984年、春日野理事長(元横綱栃錦)の時代だった。当時は手を付くどころか、中腰で立つ相撲も多く、直せと言われて戸惑う力士も多かった。「理事長の現役時代のビデオ見てみな。手なんか付いてないよ」と口をとがらせた力士もいる。
そんなころだった。高砂部屋で場所前のけいこを取材した後に、幕下の若い力士が話しかけてきた。
「横綱の立ち合い、変わったでしょ」
横綱とは「ウルフ」と呼ばれた千代の富士のこと。当時の高砂部屋には朝潮、小錦、水戸泉、富士桜らがいて、そこへ千代の富士、保志(のちの北勝海)、北尾(のちの双羽黒)、旭富士らが出げいこに訪れ、活気のあるけいこを繰り広げていた。
千代の富士の立ち合いのどこが変わったのか、分からなかったので聞き返すと、その若い衆は言う。
「立つ時の両足の間が狭くなったんですよ。左右1センチずつぐらいですけど」
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