これに対し、日本獣医生命科学大講師(臨床動物行動学)の水越美奈さんによれば、小型犬と大型犬の成長速度に明らかな違いが出るのは生後5~6カ月ごろなので、8週未満では子犬の行動パターンは同じという。
「むしろ子犬は大きさではなく週齢を合わせて遊ばせた方がいいぐらい。子犬は親兄弟との生活を通じて、犬同士のあいさつや謝り方を学びます。好奇心で家族から離れても、不安になったら母犬の元に戻ってくる。母犬はステーションの役割を果たし、母犬でないと子犬にコミュニケーション技術などを教育できない」と説明。「40日程度では散歩時に他の犬にわんわんほえる問題が起こり得る。犬は怖いから、やられる前に攻撃的になってしまうのです」と話す。
その上で「子犬同士の遊びが盛んになり、一番社会性を学ぶ時期は7週。8週目に物や人に対して恐怖心が強くなる。完全に離乳するのは9週齢ぐらいなので、理想的な日齢は9週です」と明言する。
獣医師も「8週齢以上」望む声強く
獣医師の中でも8週齢以上を求める声は強い。ペットを診る動物病院の獣医師約4400人から成る日本小動物獣医師会(港区)は昨年11月、会員を対象に動物愛護法改正に伴う日齢に関するアンケート調査を行った。
回答者は約760人で、「日齢が早過ぎたために起きる悪影響はあるか」との問いに99%が「ある」と答えた。具体的には、「精神的に未熟なために、移動のストレスで体調不良が起こる」「体力的、免疫的に未熟なために疾病が発症する」「社会化される時間が短いため、警戒・恐怖・依存心、攻撃性など性格形成にゆがみが出る」といった例が挙げられた。
好ましい日齢については「60日以上」がほぼ半数に上り、次に「90日」が13%、「56日(8週)」は10%。「49日以下」は6%に過ぎなかった。
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