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子犬を親から引き離す日数は

親兄弟から離す「日齢」は意見分かれる

 一方、幼い犬猫を親、兄弟姉妹から離す「日齢」については意見が分かれている。現行法は日齢について規制はない。06年施行の前回改正法の際も議論されたが、まとまらなかった。

 報告書では「一定の日齢に達していない犬猫を親や兄弟姉妹から引き離すと、適切な社会化がなされない。特に犬は早期に引き離すと、成長後にかむ・ほえる癖が起きる可能性が高まるとされる」とした。

 その上で、親などから離す理想的な時期として、米国で実験結果がある7週齢、欧州などで規制事例がある8週(56日)齢、業者団体が主張する45日齢を併記した。

 ちなみに日齢について同省のパブリックコメントは、「8週齢以上」と「8~12週齢」などが計約6万2000件、「45日」「現行のまま」などは約4万6000件だった。

 「45日」主張の業界

 45日を主張する全国ペット協会名誉会長の米山由男さんは「業界の自主努力で、多くは現在40日程度を守っています。8週にすれば、感染症などを防ぐためのワクチン、餌、成長に合わせたケージの準備などのコストが増え、市場は約3割縮小する」と力を込める。

 さらに「8週の科学的根拠が不明。日本の飼い犬は小型犬が多いが、欧米では中型犬で実験している。小型犬は大型より成長が早いから、海外の研究を日本に当てはめるのは疑問」とする。加えて「欧米は犬をあくまで動物として扱うが、日本人は幼い犬を手塩にかけて育て、人間並みの家族として扱う人が多い」と幼犬を好む日本特有の文化があると強調する。

 「8週に必ずしも反対ではないが、むしろ賛否以前に繁殖場の改善、行政による業者の検査態勢の強化を優先すべきです」と話すのは、ペットショップ大手のコジマ(同江東区)の会長小島章義さんだ。

 コジマは40~45日齢の子犬を繁殖業者やオークション(せり市)を通じて購入した後、ワクチン代は同社が負担し、獣医師が健康チェックをしてから販売している。「零細な繁殖業者が多いので、8週が導入されれば動物の健康悪化や、日齢を偽ったり、遺棄が増えたりする恐れがある」と懸念する。

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