インターネットによる動物販売はトラブルが後を絶たない。国民生活センターによると、ペットの相談全体のうち、インターネット販売は11年度(1月20日現在)で13.5%に上る。
相談内容は「約30万円の子犬を購入し、遠方の事業者から空輸で送られてきたが、届いた晩に下痢をし、入院した。事業者は『空輸で送り返すように』と言ったが、弱った子犬を送ることはかわいそうでできなかった。間もなく犬は死に、獣医は『もともと体力がなかった上に空輸でさらに体調が悪化したのでは』と話している。治療費、葬儀代を負担してほしい」などといったもので、深刻なケースも少なくない。
環境省の報告書でもネット販売は、「飼い主に対する動物の特性や、遺伝疾患や病気の有無についての事前説明が不十分。対面で説明し、現物確認の義務化が必要」としている。
山口さんは「移動販売と同様、幼い犬猫にとって空輸などのストレスは非常に大きい。そもそも一緒に生活する動物を、実物を確認しないで購入することについて考え直してほしい。ぬいぐるみを買うこととは訳が違います」と指摘する。
既にネット・移動販売に関しては、日本動物福祉協会、自然と動物を考える市民会議(杉並区)などの愛護団体と全国ペット協会(千代田区)、日本消費者協会(同)などが協力して07年から、「ペットに病気や障害があるからといって、もののようにたやすく返品できません。すぐ死んだり、病気や障害が見つかると、治療やお金がかかり、つらい思いをします」と消費者に訴えるパンフレットを配り、業界には自主規制を呼び掛けている。
自然と動物を考える市民会議事務局長の塩坪三明さんは「自主規制を要請するようになってから、移動販売はいくつか減りましたが、いまだに主要都市を回る大規模なイベントなどはやめようとしません」と話す。
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