サッカーのクラブ・ワールドカップ(W杯)が3年ぶりに日本で開催され、10日から20日の3位決定戦、決勝まで、横浜と大阪で熱戦を繰り広げる。
各大陸のクラブ王者に、開催国枠で出場するJリーグの覇者、広島を加えた7チームが出場し、トーナメント戦で王座を争う。各国のスター選手をそろえた欧州王者バルセロナ(スペイン)が大本命で、話題の中心。スター軍団の戦いぶりに加え、バルセロナへの挑戦権を得るのはどのチームか、追い詰めるチームが現れるかが大きな見どころとなる。
バルセロナは昨季、国内のリーグ、カップ戦を制した後、欧州チャンピオンズリーグ(CL)を4年ぶりに制してクラブW杯への出場も決めた。CL決勝では、しぶといユベントス(イタリア)を突き放して3-1で撃破し、充実の3冠達成でシーズンを締めくくった。
その強さを象徴したのが、「MSN」と呼ばれるメッシ、スアレス、ネイマールの攻撃「トリデンテ」(トリオ)だ。昨季の公式戦では、3人合わせて122ゴールを量産した。内訳はメッシが58点、ネイマール39点、スアレスが25点。スアレスが出場停止処分で出遅れたことを考えると、誰かが突出するわけではなく、3人が3人ともゴールを重ねているのが特徴だ。
もちろん、自分が狙える状況であれば、それぞれが積極的にゴールを襲う。その一方で、味方がより有利なポジションにいるときなどは、パスを送ってゴールチャンスを譲ることにもためらいがない。3人は互いに尊重し合い、連係を深めて相手ゴールに向かっていく。
言うまでもなく、3人は世界を代表するストライカー。それぞれが実績のあるスーパースターで、主役中の主役だ。こういう選手は、おうおうにしてエゴが強く、うまく並び立つのがなかなか難しい。
ところが、MSNは実にうまくはまった。3人の中では世界最優秀選手(バロンドール)に4度輝いているメッシの実績が群を抜く。加えてメッシは3人の中で年長であり、バルセロナの生え抜き選手だ。バルセロナではネイマールが3季目、スアレスは2季目。後から加わった2人が、「メッシとプレーできるのは喜び」と、先輩エースに十分な敬意をはらい、「俺が」という気持ちを抑えてプレーできていることが、3人のスーパースターが共存し、相乗効果を高めて他チームを圧倒している最大の要因なのかもしれない。
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