プロ野球は今季、「統一球」を導入した。球団間で試合使用球が異なっていた昨季までの弊害をなくし、国際大会で戦うためワールド・ベースボール・クラシックなどの使用球に近い球を使って感触に慣れるのが、主な目的だった。従来の球より反発力が低い統一球によって、野球はどう変わったのか―。
◇「これが野球かも」
統一球はミズノ製で、中心のコルク芯を覆うゴム材が新開発の低反発素材に変わった。同一条件下では、1メートルほど飛距離が落ちたという。
縫い目はやや低く、広くなった。従来の球が、牛皮の限られた部分だけを使っていたのに対し、使う部位が増えたのも特徴。感触に個体差が生まれ、滑りやすいと感じる投手も増えたが、総じて「飛びにくく、変化球の曲がり方が大きくなった」とされる。
その結果、「打高投低」から「投高打低」へ、投手有利に働いたことが、野球の主要なデータから顕著に読み取れる。
昨季に比べ、本塁打数は1605本から939本に、約4割も減った。球団別では12球団一の226本塁打をマークした巨人は108本、173本だった阪神は80本に半減。持ち前の強打を発揮できずに苦戦した。
セ・リーグで14人いた3割打者は4人に、パ・リーグは13人から5人に減った。投手の防御率はと言えば、セで1人もいなかった1点台が2人生まれ、パは3人増えて4人になった。
昨季までは、バットでこすったような打球まで本塁打になることがあり、「飛び過ぎる」と批判された。ロッテの金森打撃コーチは「昔はこの(感じの)球だった。もっと飛ばなかった」と指摘し、巨人の阿部は「これが本当の野球かもしれない」と話した。(球団名などは今季)
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