喜望峰の街 ケープタウン~東西交易の軌跡を歩く

樹齢350年の老木

 喜望峰。アフリカ大陸にある、この岬を知らない人はいないだろう。17世紀、欧州とアジアを結ぶ航路の中間点として、船乗りに針路を教えてきた世界的な地だ。南アフリカ共和国のケープタウンは喜望峰の「発見」後、帆船への水などの供給地として発展した。そんな歴史を刻んだ街や喜望峰を南半球の晩秋、ゆっくりと歩いてみた。(時事通信社・舟橋良治)

 2013年5月、ケープタウンの散策を街の中心にある「カンパニー・ガーデンズ」から始めた。今は緑豊かな公園として市民に親しまれているが、17世紀に作られた当初は、その名が示すように「会社の農園」だった。この「会社」は、世界初の株式会社として1602年に設立され、歴史の教科書に必ず載っている「オランダ東インド会社」だ。

 オランダ東インド会社は、インドネシアから胡椒などを輸入するのが主な業務。貿易船に水や食料を供給する基地が必要となり、1652年にケープ植民地を造った。

 食料供給基地の名残をカンパニー・ガーデンズに見ることができる。樹齢350年を超える洋ナシの木が、それだ。現地のタクシー運転手が「オランダから運ばれてきた木です」と教えてくれた老木は、歴史から忘れられたように、公園の片隅にひっそりとたたずんでいた。

 老木が植えられた当時に思いを馳せながら、カンパニー・ガーデンズに隣接する「南アフリカ博物館」に足を運んだ。

 博物館入ると、2万年前に描かれた動物の岩絵の鮮やかな色使いに目を奪われる。また、ケープ植民地が作られた当時、1万年以上前からこの地に暮らしていたコイコイ人(ホッテントット)やサン人(ブッシュマン)らの住居、道具類、装飾品などが紹介されており、西欧に出会う前のアフリカを垣間見ることができる。このほか、クジラの骨格標本やライオン、ヒョウといった猛獣の剥製、恐竜の化石など、南アフリカの自然や文化をざっくりと知るにはもってこいの場所だ。

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