「世界一幸せな国」~ブータンを訪ねて~

ブータン行きの機内で

 ヒマラヤ山脈の南、中国とインドに挟まれた九州ほどの国土に約76万人が暮らすブータン。経済的な国内総生産(GDP)より大切なものとして、ワンチュク3代国王が提唱した「GNH(Gross National Happiness/国民総幸福量)」を国の理念に掲げる。「世界一幸せな国」とはどのような国なのか、知る人ぞ知る秘境を旅した。(フリージャーナリスト・横井弘海)

 「ブータンに行く」と話すと、「世界一幸せな国でしょ」と友人が異口同音に言う。2016年4月末、バンコク経由でパロ行きのロイヤルブータン航空(商標名ドゥルックエアー)に乗り継いだ。ブータン航空はエアバスA319を3機所有する小さな国営航空。だが、「ブータンは『貧しくても』皆が幸せ」という自分の描いていたイメージとは異なり、飛行機は真新しく、主翼には国旗と同じシンボルマークの龍が勢いよく踊っていた。

 100席あまりの機内には熟年の西洋人旅行客が多かったが、筆者の隣に座ったのは、インドの大学でジャーナリズムを学び終えたブータン人のソナム・ワンモさん(24)だった。アイフォンを片手で操作する、東京にもいそうな今風の女性。「国費留学生ですか?」と質問すると、「国費留学はよほど頭が良くないと無理(笑)」との答え。

 彼女が機内で親しく話していた客室乗務員の女性は高校の先輩で、同じ高校の2年上にはぺマ現王妃がいたという。この後はオーストラリアにMBAを取りに行くと言うので、「そのまま外国に住むの?」と聞くと、「いいえ、留学するのは『冒険』のようなもので、住むなら絶対ブータンです」ときっぱり返された。

 「世界一幸せな国というのは本当かも」と、彼女の言葉で期待がさらに膨らんだところで、標高2200メートルのパロの空港に着陸。2011年に日本を新婚旅行で訪れたワンチュク5代国王夫妻の仲睦まじい巨大写真が、のどかな山々をバックにして旅客を笑顔で迎えてくれた。

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