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映画「ぼくのおじさん」に込めた思いとは プロデューサーと監督が語る

原作は「漫画より面白い」

 映画「ぼくのおじさん」(11月3日公開)は、全編に漂う昭和チックな緩さが魅力だ。企画を立てたのは、ヒット作「探偵はBARにいる」などを手掛けた東映プロデューサーの須藤泰司さん。青春映画「リンダ リンダ リンダ」「マイ・バック・ページ」などで知られ、インディペンデント系で活躍してきた山下敦弘さんが監督を務めた。

 この映画の製作意図について、須藤プロデューサーが「ギスギスした時代だからこそ、のんびりした空気感の作品が見たかった」と話せば、山下監督は「より幅広い層に見せられるものを作りたかった」。2人に「ぼくのおじさん」の魅力を語ってもらった。

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―映画の原作は北杜夫さんの小説ですね。製作が決まった経緯は?

 須藤プロデューサー(以下P) 小学校4年生の時に友達の家で読んだのが、原作との出合いでした。「漫画よりも面白いものがあるんだ」と衝撃を受け、北さんの作品を読みあさりました。児童文学だった「ぼくのおじさん」には独特のユーモアが凝縮されていて、機会があれば映画化したいなと考えていました。

 一番の難題は、原作のようにひょうひょうとして、独特の上質なユーモアを表現できる「おじさん」役の俳優を見つけることでした。「探偵はBARにいる」で松田龍平さんと仕事をするようになって、「この人なら」と話を持ち掛けたところ、興味を持ってくれて、以前から龍平さんが一緒に仕事をしたいと言っていた山下さんに監督をお願いしました。

 山下監督 北さんのことは名前を知っていたぐらいで、オファーを頂いてから原作を読みました。モチベーションとしては、龍平君と仕事ができるということが大きかった。こういう(ゆったりとしてファンタジー的な要素もある)タイプの題材でやれるという点にも引かれました。僕はこれまで映画ファンに向けて映画を作っているようなところがあったけれど、今回は題材が児童文学だし、もう少し広げてみようと。そこはチャレンジだった。でも結局、また自分が好きな作品を作っちゃった気もします(笑)。

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