映画「ぼくのおじさん」のおいのモデルに聞く
11月3日公開の映画「ぼくのおじさん」で、グータラなおじさん(松田龍平さん)と凸凹コンビを組むのが、しっかり者のおいっ子、雪男(大西利空君)だ。自らの体験を基に書いた故北杜夫さんの原作小説にも登場する雪男には、実在するモデルがいた。現在は斎藤病院(東京都府中市)の理事長を務める精神科医の斎藤章二さん(68)。映画を見て、おじさんのモデル、北さんのことを懐かしく思い出したという。
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―北さんは作家デビュー前の精神科医の修行時代、やはり精神科医で、後にエッセイストとしても活躍した兄の斎藤茂太さんの家に居候同然で同居していました。
物心ついた時からおじき(北さん)は普通に家族の一員でした。同居しててもね、おじきが医師として仕事しているのを1回も見たことがないんです。白衣姿を見たことなくて。でも、本当は手伝っていたんですね(笑)。物を書いてることは、だんだん分かってきて。変なおじさんでしたが、楽しくて優しくて大好きでした。
―斎藤茂太家の息子たちの中で、北さんと特に仲が良かったと聞きました。
気が合ったのかな、次男同士で。僕はおじきを見ていて、次男は好きなことができると思っていました。いいなあって。おじきみたいになれると思っていたら、(きょうだいは)誰も(精神科医を)やってくれない…。僕だけが精神科医になりました。
―映画や小説と似たような体験はありましたか。
子どもたちが意見するのは、みんなフィクション。でも、おじさんが「教養で漫画を読んでいる」というのは本当です。漫画がたくさんあって、留守番中に僕も全部読みました。漫画少年になりました(笑)。
―困らされたことはありましたか。
変わった叔父さんではあるけれど、僕はあまり困らなかったかな。おふくろは陰では困って、注意していたと思いますけどね。映画みたいに怒ることはありませんでした。
―斎藤さんは、映画の雪男のような少年だったのですか。
全然(違って)、足元にも及びません。きちんとしていて、おじさんに意見する、あんなおいっ子がいたら怖いですね。それに、あの子(利空君)の演技はすごいね。うまいし、かわいいし。無責任っぽいおじさんと、しっかりしたおいっ子がいい感じで、楽しいですね。
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