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琥珀の大地に魅せられて~バルト3国周遊記~

リトアニアで「虫」を買う

 「バルト3国」と聞いて思い浮かべるのは何だろう。酷寒の地、中世の町並み、杉原千畝と旧ソ連からの独立…。ただ、それらはあくまでイメージに過ぎず、リトアニア、ラトビア、エストニアという各国の歴史や文化の違いを正確に知る者は、そうはいまい。

 かく言う自分もその1人。インターネットがいくら浸透しても、海外で頼りになるのはやはり「地球の歩き方」だ。予習もそこそこに、ヘルシンキ経由のフィンランド航空機で、リトアニアの首都ビリニュスに向かった。

 リトアニアは3国の中で最も南にあり、北海道の8割ほどの国土に約330万人が住む。歴史をひもとけば、1253年にミンダウガスが初のリトアニア王に即位。ポーランドとの連合により、14世紀末にはバルト海から黒海に至る大国となった。ドイツの影響が色濃い他の2国と歩みは全く異なる。

 ビリニュスの旧市街を特徴付けるのは、宗派も様式もばらばらの教会群。町全体が世界文化遺産に登録されている。16世紀初頭に造られた城門「夜明けの門」を起点に、石畳の道を北上すれば、聖カジミエル教会やロシア正教会などが立ち並ぶ。

 この界隈には、名産の琥珀(こはく)を扱う店も多い。木の樹脂が地中で固化したものをネックレスや指輪などに加工しており、宝石にしては軽めだ。

 少々値が張るが、蚊やアリなどの「虫入り」タイプもおもしろい。ゲテモノ好きの血が騒ぎ、妻への土産としたが、果たして気に入られるかどうか。 町のシンボル大聖堂に歩き着いたころにはすっかり暗くなっていた。

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