2013年11月8日に猛烈な台風30号(ハイエン)がフィリピン東部と中部を直撃し、約1600万人が被災する大災害が起きた。約1年3カ月が経過した15年2月上旬、筆者は国際NGOの国際家族計画連盟(IPPF)による被災地での活動を視察した。IPPFは貧困層の援助、特に若年層の健康と性、家族計画の問題を扱う組織として知られる。IPPFの活動を通じ、被災地の女性を取り巻く現状について調べた。
(時事通信社外信部・渡辺公美子)
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日本では真冬の2月上旬、東京から約5時間かけて蒸し暑いマニラに到着した。今回の視察ツアーを主催した国際NGO、ジョイセフ(JOICFP)のスタッフの方々も皆女性と、アットホームな雰囲気の中で視察は始まった。到着早々に現地スタッフとの顔合わせとプレゼンテーションに参加。世界中で行われているIPPFの活動のほとんどがボランティアにより構成されており、有給のスタッフは数名だという。彼女たちの強い熱意が伝わってきた。
到着した日はマニラに1泊。朝3時に起床し、台風による水害被害が甚大だった南部タクロバンへ飛行機で移動するという強行スケジュールだった。
約1時間半かけて到着したタクロバンの空港は、コンクリート製の広いワンルームという簡単な造りだった。空港のスタッフが歓声を上げ、南国特有の陽気な雰囲気で出迎えてくれた。現地スタッフと合流して車に乗り景色を眺めると、空港の周辺は空き地だらけ。途中、1月にフィリピンを訪問したフランシスコ・ローマ法王の顔写真が印刷された大きな垂れ幕がかかっている教会も見つけた。教会は台風により一部破損していたが、修復も進んでいる様子。他にも街中では建物の壁に「WELCOME POPE(ようこそ教皇さま)」という文字がスプレーで描かれるなど、国民の約8割がカトリックというお国柄が表れていた。
建物は復興途中のためか、れんが造りの物から木材、トタンによる簡単な造りによるものなどとまちまち。これはその後訪れる、どこの被災地にも共通している光景だった。他にも壁だけ残された建物や、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)と描かれたシートをかぶせている家も見られた。
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