投打の二刀流で2021年の米大リーグを彩ったエンゼルスの大谷翔平選手について、歴代1位の通算762本塁打を誇るバリー・ボンズ氏(57)がインタビューに応じ、印象を語った。I just think he’s great―。ジャイアンツで活躍した希代のスラッガーは、大谷への賛辞を惜しまない。01年にシーズン最多記録の73本塁打を放ってから、ちょうど20年。米メディアでは「大リーグ史上、最も特筆すべきシーズンを送ったのはどちらか」との比較論も浮上した。投手で9勝を挙げて防御率3.18、打者では46本塁打、100打点、打率2割5分7厘で26盗塁をマークした今季の大谷を、ボンズ氏はどう見たのか。(ニューヨーク在住スポーツライター 岡田弘太郎)
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通算2935安打、1996打点、514盗塁。外野手でゴールドグラブ賞8度。極めて高いレベルの長打力と走力、さらに守備力を兼ね備えていたボンズ氏が、大谷を絶賛した。
「本当に信じられないし、驚異的な活躍だ。これまで、私にとってイチロー選手が日本選手のパイオニアというべき存在だった。米国だけで3000安打以上を放ち、日米合わせて4000安打以上を記録した。大谷選手が今年見せた投手と打者の二刀流は、本当に素晴らしいことだ。今後(大谷以外に)このような選手を見ることはできないのではないだろうか。今までこのような選手を見たことがなかった。信じられないという言葉しか出てこない」
打者の大谷に対する評価として、エンゼルスのジョー・マドン監督とレッドソックスのアレックス・コーラ監督が口をそろえていた。「バリー・ボンズをほうふつとさせる」と。
「自分と似ているかどうかは分からないが、大谷選手が偉大であることは確かだね。私と重ねるためには、もう少し長い年月でプレーすることが必要かもしれないね。私にとっても、彼がどれくらい驚異的なレベルにあるかというのを説明するのはとても難しい。打って、投げて、そして走力もある。彼がやっていることを理解するのが、まず簡単ではないように思う。打撃の優れた投手というだけなら、ジャイアンツ時代のバムガーナー(現ダイヤモンドバックス)がいたけれども、大谷選手は他に類を見ない存在と言えるだろう。投手としても打者としてもエリート級。彼のような選手はこれからも現れないのではないだろうか」
ボンズ氏は当初、「打者・大谷」は未知数だったという。そして今、投打の二刀流を実現させている姿に「just amazing」と驚きを隠さない。
「最初は投手としての印象が強かった。打者としては、どれくらいのレベルなのか計りかねていた。とても優れた投手であることはみんな分かっていた。打者でも大リーグに順応し始めると、ホームランを打ち始めた。そして何度も何度も本塁打を打った。しつこいようだけど、このような選手はもう二度と現れないのではないか」
「本当に驚異的なことだよ。レギュラーの野手であれば、毎日試合に出ながらリズムをつくっていくことができる。ただ、大谷選手の場合はそこに投手としての作業が加わるわけだ。中5日ほどでマウンドに上がるためには、指名打者として出場する日も(試合前に)ブルペンで投球練習を行うことになる。その上で、先発した日には100球近く投げて完投するかもしれないというんだから。本当に信じがたいことを彼はやっていると思う」
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