「体感するファーブル昆虫展」に行こう 昆虫記の世界からゾゾゾの蟲、夢の映像世界、超巨大昆虫、触れ合い体験まで徹底リポート

2022年07月15日18時00分

ファーブルの生涯は大人に任せて、子供たちは標本コーナーに突進

 名古屋市で開催中の「体感するファーブル昆虫展NAGOYA」を体感してきた。それは、本当に「体感する昆虫展」だった。

 時事通信社の自称「昆虫記者」は、早朝から東京でルーティンの事務仕事をして、午後に新幹線で名古屋に移動するというハードスケジュールで昆虫展を見学した。昆虫記者を名乗りながらも、ほとんどの昆虫取材は遊び半分(実際は遊び99%)の土日・祝日の無償奉仕なので、出張費を出してもらっての昆虫展取材は、涙が出るほどうれしかった。

 寝不足と早朝の仕事でへとへと、意識もうろう状態だったが、会場に入った途端に覚醒した。「これミヤマ(ミヤマクワガタ)だよ。ほらルリボシ(ルリボシカミキリ)もあるよ」。昆虫標本に興奮する子供たちの声は、昆虫記者にエネルギーを注入する。

 ファーブル昆虫展なので、標本コーナーの入り口に展示されているのは、ファーブルが暮らしたフランスの虫たちだ。そのすぐ近くにある日本の虫の標本の中に、ミヤマ、ルリボシがあった。それを目ざとく見つける子どもたちは希望の星だ。将来の科学者、昆虫学者、昆虫写真家、そして「昆虫記者」がその中から生まれるかもしれない。

 会場は金山南ビル美術館棟(旧名古屋ボストン美術館)の4、5階。会場に入ってすぐのところにファーブルの生家を模したスペースがある。その次のコーナーには、あの特徴的な帽子など、ファーブルのお気に入りだった品々が並び、ファーブルの生涯を分かりやすく説明した柱状のパネル展示がそれに続く。

 貧しい少年時代、事業家としての成功と挫折、昆虫学への目覚め、あくなき探究心など、ファーブルの生涯について子供たちにしっかり学んでほしいが、その先のコーナーに、ワクワク、ドキドキの体感が待っているとなれば、それはちょっと難しいかもしれない。

 ファーブルの生涯についての学習は、親たち大人に任せて、子供たちと昆虫記者はずんずんと先へ進む。

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