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オリパラ後の日本のリーダーに望むこと~仮面女子・猪狩ともか

2021年10月04日

「障害あってもステージを夢見る人はたくさんいる」

 アイドルグループ「仮面女子」の猪狩ともかさん(29)は、2018年の事故で「脊髄損傷による両下肢まひ」という重傷を負いながら懸命のリハビリでステージに復帰、車椅子でアイドルの活動を続けてきました。東京五輪・パラリンピックが終わった後、私たちの社会はどんな姿を目指すべきなのか。岸田新政権発足のタイミングに合わせて、猪狩さんからメッセージを寄せていただきました。(時事ドットコム編集部)

 ◇  ◇  ◇

 アイドルグループ・仮面女子の猪狩ともかです。

 今年の夏は日本で開催される大きな大会「オリンピック・パラリンピック」がありました。新型コロナウイルスの感染拡大により、残念ながら無観客となりましたが、大会期間中は世界中が大変盛り上がっていたことと思います。

 2021年に延期が決まったものの、本当に開催できるかもわからず、選手の皆さんは気持ちを保つのも難しかったのではないかと思います。そんな困難な状況の中でも戦う姿を見せてくださった選手の皆さん、大会の運営に尽力してくださったスタッフの皆さんやボランティアの皆さんに「お疲れさまでした」と「ありがとうございました」の気持ちでいっぱいです。

 パラリンピックはオリンピックと比べ、認知度や注目度がまだ低いと感じていましたが、SNSのトレンドワードにパラリンピックの競技名が上がったり、選手の皆さんに応援メッセージがたくさん寄せられるなど、これまでにない盛り上がりが見られました。パラリンピック=「障害者のスポーツ」という認識ではなく、ひとつのスポーツとして認められたのではないでしょうか。

 私もたくさんの感動をいただきましたし、聖火リレーやNHKの中継番組の出演という形で大会に携わることができたことを、心からうれしく思います。

 しかし、この盛り上がりを一過性のものではなく、継続していくために、自分に出来ることは何があるだろうかとよく考えています。

パラスポーツに接する教育機会を

 大会前はパラスポーツの体験イベントや観戦イベントが多く開催されていました。見たり触れたりすることで、初めて魅力や楽しさを知ることができると私は思っています。実際に私もいくつもの競技を体験して、競技の楽しさや選手のすごさを知ることができました。

 そこで強く感じたことがあります。それは「パラスポーツに触れる」ということが、義務教育のカリキュラムに含まれてほしい、ということです。実際にそういった取り組みをしている学校も現にあり、小・中学生から「授業でパラスポーツを体験して楽しかった」「学校にパラリンピックの選手が来てから、その競技を応援するようになった」というお話を聞きました。

 パラスポーツに触れるということは、さまざまな障害を持つ人についても理解が深まるということだと思うのです。どういう症状があるのか、何に困るのか、不便に感じる時はいつなのか…。そういうことを「知る」ことが大事だと、私は考えます。

 人は知らないことに対して警戒してしまうので、障害のある人との関わりを子どもの頃から体験することで、思いやりの心を持てるようになるのではないかと感じています。

 そして、パラスポーツだけでなく、継続してほしいと強く願っていることがあります。それは、街のバリアフリーに関することです。

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