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ラグビー日本代表、世界トップの背中は再び遠ざかったのか? 強豪に屈した秋のテストマッチ

2023年W杯へ、課題山積

 ラグビー日本代表が秋のシーズンを終えた。10月下旬からの約1カ月で、国内と欧州でのテストマッチ4試合に臨んで1勝3敗。格下のポルトガルに勝った以外は、ティア1と呼ばれる強豪のオーストラリア、アイルランド、スコットランドに屈した。2019年ワールドカップ(W杯)日本大会で史上初の8強入りと躍進し、近づいたと思われた世界トップの背中が、再び遠ざかったのか―。19年大会以上の成績を目指す23年W杯フランス大会まで2年を切った段階で、多くの課題を突きつけられた格好だ。年明けに始まる国内新設リーグの「リーグワン」を通じて、再強化に向けた活路を見いだせるか。(時事通信運動部 鈴木雄大)

◇ ◇ ◇

 国内では約2年ぶりのテストマッチとなった10月23日の豪州戦。終盤まで4点差と競った展開で会場を盛り上げたが、内容的には褒められるものではなかった。スクラムは押し込まれ、ラインアウトは不安定。ブレークダウン(タックル後のボール争奪戦)では反則を繰り返した。

 23-32とスコアの上では善戦。ただし、相手のミスで失点を免れた場面が何度もあり、プロップの稲垣啓太(埼玉)は「いい試合とは言えない。このレベルで反則17個(公式記録では14)では勝てない。最低でも1桁に抑えないと」と顔をしかめた。

アイルランドに55点差の大敗

 11月の欧州遠征初戦、アイルランドとの一戦はもっと厳しい結果に。コンタクトプレーで圧倒され、ラインアウトも満足に確保できず、防御は素早くパスを回してきた相手の攻撃に全く対応できなかった。5-60。ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)が2016年秋に就任してからワーストとなる55点差の大敗を喫した。

 力が劣るポルトガルにも苦戦した。またも反則が多発し、フランカーのリーチマイケル(BL東京)とプロップの中島イシレリ(神戸)がシンビン(一時退場)。38-25。負けてもおかしくなかった辛勝で、代表戦の経験が少ない選手を中心に起用したことを割り引いても、もどかしい戦いぶりだった。

大きく響いた実戦不足

 3試合ともボールを持ってのコンタクトや、最初のタックルに入る強さが足りないため、ブレークダウンで後手に回っていた。こうなると攻撃にリズムが生まれず、守っても反則が増えてしまう。2年前のW杯では、強豪相手にも攻防の接点で互角に渡り合っていた。ここまで苦しんだのは、やはり新型コロナウイルスの影響で実戦が不足したせいだろう。

 昨年は全く代表活動ができず、今春のテストマッチも2試合だけ。サイズの小さい日本が強度の高い試合を経験できなければ、肉体が激しくぶつかり合うブレークダウンで力を発揮するのは難しくなる。コンビネーションの熟成に時間がかかるスクラム、ラインアウトの精度が下がるのも無理はなかった。

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