2021年11月21日
自民党の茂木敏充幹事長が時事通信の単独インタビューに応じた。10月の衆院選で前任の甘利明氏が地元選挙区で敗れて辞任。これを受け、急きょ登板した茂木氏に、岸田政権の政策課題や党改革の方向性、来年の参院選に向けた取り組みなどを聞いた。(インタビューは2021年11月18日に行いました)
―党改革実行本部の本部長に就任した。記者会見では「3カ月以内ぐらいには何かの結論を出したい」と述べたが、どのような論点で進めていく考えか。
スピード感を持ってやりたい。党改革実行本部の第1回会合を来週にも開き、早急に改革の方向性を打ち出していきたい。実行本部では前法相の上川陽子幹事長代理が座長に、若手で元法相の山下貴司議員には事務局長に就いてもらい、具体的な議論を進めていきたい。
一つのテーマとしては、党役員の任期制限をはじめとする人事のあり方だ。岸田文雄首相も総裁選の際、「1期1年、3期まで」という話をされているが、こういった人事のあり方や政党のガバナンス、近代政党としてのルール作りを検討していきたい。
早い段階でできるものから実行していきたい。「聞く力」とも言っているが、国民との距離を縮めるためにインターネットを活用し、党員や国民との対話集会を開催するなど、ただ開くだけではなく、そこから出てきた意見を党の政策に反映していくことも進めていきたい。例えば安全保障や経済、社会保障など、いろいろなテーマ別に。必ずしも政策でなくてもよい。
改革の全体像も提示するが、報告書を作ることに意味があるわけではない。実行できることから、スピード感を持って実行に移す。「自民党は進化している」という姿を国民に示していきたい。
―来年夏には参院選がある。幹事長として陣頭指揮を執るが、どのような政策を訴えていくか。
経済対策は真水で30兆円を超えることが大きなメッセージになると思っているが、こういった経済対策を補正予算にしていく。さらに来年度に向けての税制改正の中で、分配政策を進めるために賃上げを進めた企業に対する税制上の措置を取るなど、来年度本予算の編成と対策で切れ目なく講じていきたい。
こういった政策を速やかに実行に移すことによって、新型コロナウイルスの影響を受けている家計や事業者への支援、そして早期の景気回復を図ると同時に、日本経済の新たな成長や活力を生み出し、成長と分配の好循環を実現していきたい。
参院選へ体制立て直し
今回の衆院選では、今まで以上に接戦区が非常に多かった。最終的に競り勝った選挙区が多かったが、いくつかの地域では厳しい結果にもなった。参院選に向け、競り勝った選挙区ではその勢いを維持しながら、大阪など大変厳しい結果となった地域の立て直しを急ぎたい。
―獲得目標の議席は。
獲得議席(の目標を言うの)は少し早いと思うが、候補者が決まってない選挙区もあるのでフレッシュな新人や女性など、アピール力のある候補者の選定を急ぎたい。参院選は衆院と比べて選挙区も広い。候補者自身の魅力や活動はもちろんだが、自民党全体としての政策実現力や将来ビジョンが問われる極めて重要な選挙だ。全力で取り組みたい。
―衆院選では野党が候補者の一本化を進めた。参院選でも改選数1の「1人区」で野党陣営が一本化するかが焦点になる。立憲民主党内でもそこが争点になっているが、どう見ているか。
今回(衆院選)は88の選挙区が与野党1対1の対決で、立民と共産が一本化した候補者と戦った。88選挙区中、結果的には自民党が58勝30敗と、ほぼ3分の2を取ったわけだ。私もいろいろなところに応援に行ったが、自民党の候補者、それから地域、地方組織、地方議員も全力で取り組んだ。
立民が、自衛隊を否定し、この厳しい安全保障環境の中で日米安保を否定する共産党と野合するということに対する国民の皆さんの拒否感は強かったことも事実なのではないか。(野党共闘を)今後どうされるかは、それぞれの党が決めることだ。
―共闘はマイナスの方が多かったとの分析か。
それは分からないが、結果的には(自民が)58勝30敗だったということは事実だ。
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